『ゴジラVSメカゴジラ』(1993)
2009年 07月 15日
そこに映し出されたのは『ゴジラ5』の文字。
「あれ?」と思っていると最後の最後に『ゴジラVSメカゴジラ』とタイトルが明らかにされ、「ああ、やっぱりね」と劇場を後にしたのだが、これってもしかすると『VSモスラ』公開直前になって急遽対戦相手が決定したということだったりするのかしらん?
実はそれよりも気になっていたのが『ゴジラ5』という括り。
単純に1984年の『ゴジラ』から数えて5作目だよ、ってことだろうけれど、84年の復活『ゴジラ』が既に1954年の初代『ゴジラ』に直結する”続編”。ということは本作、6作目なんじゃないの?
――ま、それはおいといて、本作は通産20作目、ゴジラ生誕40周年記念作品であります(正確には翌年のハズなんだけど)。

ちなみにゴジラ生誕20周年記念作品は『ゴジラ対メカゴジラ』。メカゴジラってのは「ゴジラ」シリーズの節目に登場してくるんですかね。10年後の2003年には『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ/東京SOS』なんぞが作られております。
さてこの作品、前作『VSモスラ』の続きじゃありません。前々作『VSキングギドラ』からの引きがかなりあります。
メカゴジラは前々作ラストで海底に没したメカキングギドラを引き上げ、未来人のテクノロジーを徹底的に解明して作り上げたという設定です。うーん、タイムパラドックスはどうなってるんだろ?
そしてシリーズの新機軸としては、主人公が直接ゴジラと対決する人物であること。
これまでは主人公はゴジラ寄りの人間か、あるいは恨みを持っていたり憎んでいたりしても傍観者というか、間接的に関わることが殆ど。正面切ってゴジラと闘うのはシリーズ初といっても良いでしょうね。『VSビオランテ』がちょっとそれに近いけど。
ということで、主人公が乗るメカゴジラは、正にヒーローが操るスーパーロボット!
以前『ガンヘッド』で成し得なかった”巨大ロボットアニメの実写版”は、ようやくこの作品で実現したわけだ。
またゴジラザウルスの卵や赤ん坊が出てきたり、翼竜然としたプテラノドン(ラドン)の描写、これはこの年に公開された『ジュラシック・パーク』か、はたまた『REX/恐竜物語』の影響か?
『VSキングギドラ』でゴジラの前身としてのゴジラザウルスを登場させて、今また恐竜の延長線上の生物としてゴジラを描くというのもシリーズの中では新機軸かも知れません。
もっともその煽りを食ったラドンが、お馴染み伊福部音楽のテーマ曲を引っ提げて復活してきたのに、ちっともラドンっぽく、怪獣っぽくないのは残念。
そういやこの作品でもタイトルに名前を載せて貰えなかったねー。扱い酷いなぁ。
主演は高嶋政宏。
既に『VSビオランテ』に弟・政伸が出演しているだけに、これは納得(必然?)のキャスティングか。
また『VSキングギドラ』の土屋嘉男、佐原健二(本作にも出演)、『VSモスラ』の宝田明に続いて、本作には父・高島忠夫も特別出演。息子扮する主人公に対して「何だか頼りない感じだねぇ」との迷セリフを残してくれるが、どうせならもう一言、「親の顔が見てみたいよ」ぐらい付け加えてくれればもっとウケたんだがなぁ。
ヒロインはこれは全くのノーマーク!だった佐野量子。
驚いたのと同時に嬉しかったです。なんせ彼女のファンだったから。
もっともこの作品あたりを最後に目立った活躍はなく、引退。今じゃ武豊の奥さんですけど。
中山忍がチラっと出ているが、彼女はその後、平成「ガメラ」シリーズのヒロインに。女優で「ゴジラ」「ガメラ」両シリーズで大きな役を貰ったのは彼女ぐらいかも知れない。
川津祐介も後に「ガメラ」シリーズで似たような役回りを演じているのも面白い。
また原田大二郎が胡散臭さ全開で登場。この人の個性の強さはともすれば作品から浮いてしまいそうだが、辛うじて作品内のキャラクターに留まった印象だ。
同じく個性強い脇役が中尾彬だが、こちらは何と本作以降のレギュラー・キャラになってしまう。
そして三枝未希の小高恵美。
『VSビオランテ』以来、久々に彼女のキャラクターにスポットが当たり、彼女の何気ない仕草やちょっとした表情なども光っていた。
それはこれだけ長い間一人のキャラクターに付き合ってきたということで、三枝未希という人物を把握したということもあるだろうが、勿論小高恵美自身の演技力が向上したということもあるのだろう。
Gフォースやメカゴジラ絡みのドラマ、ベビーゴジラのドラマ、ゴジラやラドンのドラマ、という具合に、内容はかなり詰め込みすぎで散漫。その展開はよくよく考えれば結構矛盾してるというか破綻してるし、ラストが大甘で取って付けたようなハッピーエンドを迎えてしまうのだけれども、作品自体に勢いがあるのと、久々に新曲が鳴り響く伊福部マーチの軽快さにつれられ(?)、最後まで楽しく観てしまえる不思議な一篇。まぁこれで完結編だったら辛かったけれども・・・。
てなわけで、最後には次回作として対戦相手未定で『ゴジラ6』の予告と、それからハリウッド版製作開始!の告知が付く。
「この戦いで全てが終わる」とかいうのが本作のキャッチコピーだったけど、「戦いはまだ終わっていない」と謳った『ゴジラ6』には苦笑するしかないけど、要はハリウッド版の始動が遅れちゃったから、というのがその理由。
その後も遅れ続けたため、結局は後2本も国内版「ゴジラ」を作らざるを得ない羽目に陥った、というのは笑い事じゃなかったんだろうけどなぁ・・・。

ゴジラVSメカゴジラ(1993/日本) 評価(お奨め度)★★☆☆☆ 監督: 大河原孝夫 製作: 田中友幸 プロデューサー: 富山省吾 脚本: 三村渉 撮影: 関口芳則 特殊効果: 渡辺忠昭 美術: 酒井賢 造型: 若狭新一 編集: 米田美保 音楽: 伊福部昭 アクション: 薩摩剣八郎(ゴジラ)/破李拳竜(ベビーゴジラ)/福田亘(メカゴジラ) 特技・撮影: 江口憲一 特技・助監督: 鈴木健二 特技・操演: 鈴木豊...... more

今回の東宝特撮映画DVDコレクションは、遂に「ゴジラVSメカゴジラ」!・・・でもこの冊子の表紙シーンのチョイスが微妙(汗。 さてこの作品はベビーゴジラを巡ってゴジラとラドン、そして人類が争い、Gフォースが完成させた対ゴジラ用兵器・メカゴジラが登場します。歴代メカゴジラの中でも、比較的丸みを帯びたメカゴジラ。プラズマ・グレネイドによるゴジラの熱線の増幅・反射攻撃、第2の脳を破壊するGクラッシャー。更にガルーダとの合体によるスーパーメカゴジラ。合体した瞬間、目の機能が戻るのが何となくお気に入りです。初代...... more

ゴジラ生誕40周年を記念して制作されたシリーズ20作目にあたる作品だそうです。なんとなく記憶にあるんですけどテレビで観たことあるのかな?本編は観てないけど宣伝の印象とかで薄 ...... more

まるで素人のコラージュのようで、特撮ファンの広告屋仲間も「なんぢゃこら」と眉をひそめてたのを覚えてます。
でもエクスカリバーさんの記事を読むと、これにもナニカ裏事情がありそうな。
赤ラドンだか銀ラドンだったかも気の毒でした。
ところでこの作品も試写会行けまして、しかも!舞台挨拶もあって佐野量子ちゃんをナマで観たですよ。たしかに可愛かった!この前後でしたっけ、『風のように雲のように』で声を宛てたのも。
(-_-;) はて?他に誰が来てたのかがまったく覚えてない…
仰るようにこれで高嶋ファミリー揃ったな、って話もしてましたし、ガンヘッドのリベンジやなあ…とも友人とゆーてましたね。みな思うことは同じなのかな。
そうそう、劇中ではメカゴジラではなく『機龍』って呼んでませんでしたっけ?あれがなんか新鮮で良かったと思ってるんですが、また私の記憶違いですかね?釈由美子ちゃんの次回作?
あとは元祖”不思議ちゃん”系のキャラクターとのギャップかな。
『雲のように風のように』は観てないんですけど、この作品より2~3年前ですね。
『夢から、さめない』の方は観たような記憶があるんですが。
「雨のカテドラル」とか「瞳にピアス」とか、探せばまだシングルレコードがどっかにあるはず。
今更芸能界に復帰して欲しいとは思いませんが、近況は知りたくも思います。
>機龍
そうです。釈ちゃんヴァージョンです。
こちらのメカゴジラは飛行メカのガルーダと合体してスーパーメカゴジラになるという代物。
要するにジェットスクランダーと一体化したマジンガーZみたいなもんですな。
元々は合体変形ロボの予定だったのが、予算だか時間だか技術的な理由だかで変更になったんだそうで。

生頼画伯の初期ポスターのイラストではメカゴジラがガンヘッドを巨大にしていろいろ継ぎ足したようなフォルムだったりするのですが、実のところイラストの発注時にはまだデザインとか決まってないので、生頼画伯がイメージで描いていたらしいですね。ゴジラから直接的にはイメージが結びつかないですが、ビオランテの延長上のデザインと考えたらそれほど無理はないかなという感じです。こういうメカゴジラも見てみたかったりしますが、結局のところは平成版ゴジラに似たデザインになりました。
ちなみに機龍はミレニアムシリーズの『ゴジラ×メカゴジラ』およびその続編での呼称ですね。
結構”半完成品”状態だったりしたらしいですが・・・(苦笑)。
伊福部昭+佐藤勝コンサートは、ライヴ盤のCDを持っていますが生で聴かれたとは羨ましい限りです。
今回のメカゴジラはデザイン決まるまでかなり難儀したようで。
最初の特報にはメカゴジラが姿を見せず、その生頼画伯のポスター用のイラストと『ガンヘッド』からの流用映像を組み合わせてお茶を濁してましたっけ。
でもあの頃の熱気、懐かしいです。