『京都七不思議の真実』 姉小路祐
2009年 07月 20日

だがそれも終わり、後は編集を終えオンエアーを待つばかりという時に殺人事件が発生。被害者はロケにも同行していた艮の同棲相手の女性だった・・・。
題名や粗筋だけだと「なんとかサスペンス劇場」「なんたらミステリー」といった二時間ドラマみたいな感じだが、事件が発覚するのはかなり後半で、TV向きの派手さは殆どない。その大半は、艮(というよりも作者)なりに選んだ”京都七不思議”に関する蘊蓄話。醍醐寺、三年坂、龍安寺、崇道神社、清水寺、東寺、大文字山、白峯神宮・・・といった有名なものから無名のスポットまで幅広く取り上げ、その場所にまつわるエピソードが紹介されるのである。『天使と悪魔』や『ダ・ヴィンチ・コード』に近いラインと言ったら良いだろうか。
終盤では詩織が探偵役となって事件は一気に解決へ向かうが、それまでの蘊蓄話が面白かっただけに、何となくあっけない。読み返せば最初におかれた「プロローグ」部分から周到に伏線が張り巡らされ、なるほどと頷けるだけの情報は提示されているのだが、構成の点からはやはり唐突な感は否めない。
また詩織の彼氏未満という男友達が出てくるのだが、これが全くと言って良いほど本筋に絡まないのもどうかと思うのだが。