『ヤマトタケル』(1994)
2009年 07月 23日
ヤマトの国に双子の王子が誕生した。だがそれは不吉な兆しであるとの祈祷師ツキノワの進言を入れ、オオキミは弟のオウスを廃しようとするのだが、アマテラスオオミカミの使いであるアマノシラトリに助けられ、叔母であるヤマトヒメの元で育てられることとなる。
ある日オウスは、洞窟の中で「お前はやがて三つの光を手に入れることになる」という不思議な声を聞くのだった。成長したオウスは許されて帰参するが、間もなく母が病死し、それを弟オウスが呪い殺したのだと誤解した兄との口論のさなか、弾みで兄を殺してしまう。激昂したオオキミはオウスに、強大な敵クマソ征伐を命じ、それを果たすまでは帰るなと厳命する。旅の途中でオウスは、妖術を使う巫女のオトタチバナと出会う。二人はまだ知らなかったが、これは運命に結び付けられていたものだった。オトタチバナの協力もあって首尾よくクマソを征伐したオウスは、クマソタケルより”ヤマトタケル”の名を贈られ凱旋するが、父であるオオキミはオウスを許そうとはしなかった。そんな頃、オウスはヤマトヒメの頼みで宮中からアマノムラクモノツルギを運び出そうとしていた。かつてアマテラスやスサノオに反旗を翻し、父であるイザナギ神によって宇宙の彼方に追放されていたツクヨミが再び戻ってくることを察知したヤマトヒメは、その力の源であるツルギを隔離しようとしたのだが、それと気付いたツキノワがオウスを襲う。ツキノワはかつてツクヨミが変身したヤマタノオロチの分身だったのだ…。お正月の「ゴジラ」映画が定着してきたので、もう一つ特撮映画を、ということで夏休みに公開された作品。
それにハリウッド版「ゴジラ」にバトンタッチする際の、柱としても期待されていた。そこで平成「ゴジラ」シリーズのスタッフがそのまま移行し、TVアニメとのメディアミックスなども展開。主演に高嶋政宏と沢口靖子、その脇にベンガル、石橋雅史、麿赤児、篠田三郎、杜けあき、目黒祐樹、阿部寛、藤岡弘、宮本信子らを配し、シリーズ化も念頭に置いた意欲作だったのだが、興行的には思わしくなかったようだ。公開二日目に観に行っているが、満員だったという記憶はない。殆ど期待しないで観たのだが、これは面白かった。
「古事記」が題材であっても、他の、例えばギリシャ神話の要素を取り入れ、それをRPG風の味付けをする。元々RPGはヒロイック・ファンタジーを素材にしたものが多く、またそもそもこの”剣と魔法の物語”は人工の(という表現は変だが)神話とも言うべきものなのだから、正しくこれは換骨奪胎、本歌取り、じゃないな、原点回帰とでも言うべきものか。
良い意味で日本神話らしくないストーリーとなった。
ヤマタノオロチなどはいるが、ゴジラ等と違って特別のキャラクターのいない人間ドラマとやらが、はたして子供受けするかどうかは別にして。
その人間ドラマ部分でも欠点はいくつか見受けられる。
特にオトタチバナの設定。
神話におけるタケルの妻であっても、所詮は脇役。
これをヒロインに昇華させるにあたって色々な要素を付け加えているのだが、それでもまだ重さがない。
ただ、ヒロインとしては良く描かれている方だろう。
沢口靖子が初めて美人に見えたものだ。
役者陣は総じて好演。スサノオの目黒祐樹にやや貫禄がないが(ここは一つ、『日本誕生』とのダブルイメージで三船敏郎はどうだろうか)、藤岡弘の重量感など良し。阿部寛の出番が少なく、高嶋政宏との対決など物足りなさはあるが、そこは続編での再登場に期待しよう。
…という好印象を持ちながら今回観直してみたのだが、何だかガッカリ。
もっと面白いんだと思っていたのだがなぁ…。
○か×か、ならば間違いなく○なんだけれども、他人に勧められる映画かというと、「NO!」…だろうなぁ、やっぱり。
色々と惜しい作品ではあるんだな。

今回の東宝特撮映画DVDコレクションは「ヤマトタケル」。平成6年公開だったのか・・・私はどこでこの作品を知ったんだっけ。 ヤマトの国に双子の王子が生まれた。しかし双子は不吉な存在だと祈祷師ツキノワがヤマトの王を唆し、弟のオウスは殺されそうになってしまう。崖...... more

てっきりアニメのほうの話題かと思ったくらいでして。
でもあらためてウィキで調べてみると、そのアニメもエクスカリバーさんが書かれてる“メディアミックス”の一環だったんですね。
しかしアニメの方、私は結構気に入ってたんですが一般的なアニメファンでは誰も知らないくらいマイナーだったみたいで、しかもDVDはあったみたいですがレンタルでは見たことないし。
エンディングはGLAYのメジャーデビュー曲なんですけどねえ…(曲はYOSHIKIでいい雰囲気でして、私が三枚目に買ったCDでもあります)彼らもめったに歌いませんが。
大昔に三船敏郎でやった日本書紀(?)だったかで虫プロのアニメと合成したやつがありましたが、アレもその方面の雑誌で酷評だったような…
邦画にとって日本神話って滑るのがおおいのかしら。
TVアニメも打ち切られちゃったみたいだし。
GLAYの主題歌は映画と共通です。結構気に入ってるのですが、ヒットしたのは歌だけだったみたいで(苦笑)。
三船敏郎は『日本誕生』でスサオノとヤマトタケルの二役を演じてます。その流れで本作でもスサノオを演じてくれたらなぁと思ったのですが。
少なくても『竹取物語』での竹取の翁よりはマシだったのでは?と夢想します。
ここ二十年ぐらいで日本にもだいぶファンタジーが定着してきましたが、ギリシャ神話や北欧神話などの方が馴染みがあるんでしょうね。あとは仏教系とか。
『聖闘士星矢』とか『天空戦記シュラト』もその流れだろうし、『北斗の拳』にも若干その匂いがあります。
結局、日本人は日本神話に一番親しみがないのかも。

沢口靖子のオトタチバナに関しては、さすがに年齢的に無理があるように思ったのですが、それ以上に違和感があったのはラストのロボットですね。戦神とかいいましたっけ?
自分の周辺ではアニメ版の方が評価が高かったような気がしますが、どちらかというと完全に別物の作品ですね。メディアミックスとか言っても、当時から映画の方の存在を知らなかった人が割といたような……おかげでGLAYの「RAIN」もオリジナルのアニメソングだと思い込んでる人が多いみたいでしたが。