『ゴジラVSデストロイア』(1995)
2009年 08月 29日

シリーズ通算では22作目にあたる。
前作の『VSスペースゴジラ』は結構コミカルで能天気、破天荒なアクション物になっていたのだが、今回は大きく転換。”原点”にして”聖典”たる第一作を強く意識したシリアスなドラマへと舵を切った。
何といっても第一作のヒロイン河内桃子に、そのまんま40年後の山根恵美子を演じさせたり、メインキャラクターに山根博士縁の人物を配したり、第一作のフッテージを何度も流用したりと、これが<平成シリーズ>のみならず「ゴジラ」シリーズ全体の幕引きを務めようか、という力の入れよう。
重厚で緊迫感のある、シリーズでも屈指の見応えのあるドラマを繰り広げることには成功しているが、その一方でオキシジェン・デストロイヤーなど過去の遺産的なアイテムに頼りすぎの嫌いもあるのがちょいと残念。
ハッキリ言って、このオキシジェン・デストロイヤーとミクロオキシゲン、それとデストロイア誕生との相関関係がさっぱり分からず、このデストロイアが何故ゴジラに対するカウンターになり得るのかが理解できなかったのだが、これは読解力が無さすぎ?
それにキャストにも少々難あり。
冷静で知的な科学者役ということで起用されたであろう辰巳琢郎は、どちらかというと胡散臭さが目立つし、TVの人気キャスターという割には石野陽子は滑舌悪すぎ。
結局は彼らも、小高恵美や中尾彬といったレギュラー陣や、病気降板の細川俊之に代わっての登板となった篠田三郎らの安定した芝居の前には存在感が霞んでしまった。

ともあれこの作品を持ってハリウッド版にバトンタッチし、しばしの眠りに就く予定だったゴジラだが、僅か4年後には再び目を覚ますこととなってしまう・・・。

「ゴジラVSデストロイア」の感想。 VSシリーズ最後の作品。スペースゴジラまでは映画館で観たはずなのに、何故私はこの映画を観に行かなかったのか・・・ この作品の特徴は何と言っても「ゴジラが死ぬ」ということ。体内の核エネルギーが暴走し、胸などが赤く発光するゴジラはいつ見ても迫力満点。無闇に攻撃を加えると凄まじい規模の大爆発を起こす可能性があり、更に4代目最大の武器である赤い熱線を常時放つため、厄介なことこの上ない。 自分の体が危機なのに、それでも息子?の危機には駆けつける。最期まで頼れる父親の姿を見...... more


デストロイアはオキシジェン・デストロイアの使用によって生物の墓場となった海底で突然変異で発生した生物であり、オキシジェン・デストロイヤー(およびミクロオキシゲン)に対する耐性を備えていると同時に、自らミクロオキシゲン(後にはオキシジェン・デストロイヤー同等のレベルのものまで)を分泌することが出来ます。そのためにかつてオキシジェン・デストロイヤーに葬られたゴジラに対する天敵的な存在と見なされたのでしょう。
ちなみに怪獣名がデストロイアなのは、デストロイヤーという商標名がすでに登録済みで使えなかったからだそうですね。
ところで、この映画の最大の見所、メカゴジラもモゲラも失って手駒が無くなったから、自らはゴジラに対して何の手出しも出来ず、ただ自衛隊の活躍を眺めているしかないGフォース長官の中尾彬の悔しそうな演技ですね。(をい)
この作品の見どころの一つ、それはやっぱり麻生司令の没落ぶりでしょうか(笑)。
これ、長官がソフトな篠田三郎に交代したからいいものの、そのまま細川俊之だったらかなりネチネチいじめられてるような雰囲気が漂ったかも知れませんね(苦笑)。
最後に復活するゴジラジュニア。
このまんまの世界観を維持した続編というのも観てみたいかも。