『ジーン・ワルツ』 海堂尊
2009年 10月 07日
「冷徹な魔女(クール・ウィッチ)」と呼ばれる美貌の産婦人科医・曾根崎理恵は、帝華大学の助教として発生学の講師を務める傍ら、産婦人科病院「マリアクリニック」で非常勤の医師としても勤務していた。
かつて帝華大学は「マリアクリニック」をバックアップしていたが、一連の事件の後に手を引き、今は理恵がサポートするのみ。院長の三枝茉莉亜は癌の為に余命幾ばくもなく、また逮捕された医師は彼女の息子だったことから、既に「クリニック」の閉院が決まっていた。
その「クリニック」最後の妊婦は5人。内2人は人工授精によるものだったが、理恵の同僚であり、かつては共に「クリニック」を手伝っていた准教授の清川吾郎は、中の一人が55歳と高齢なことに不審を抱き始める。折しも上司の屋敷教授の口から、理恵が代理母出産に手を染めているとの不穏な噂を聞かされる・・・。
海堂ワールドにまた一人、新たなヒロインが登場。
実は彼女、前作『医学のたまご』の主人公・曾根崎薫クンのお母さん。既に学生結婚の夫・伸一郎とは別居中で作品中で離婚届に判を貰うが、それ以前に女たらしの二枚目・清川と関係も持つなど、奔放というか現代的というか。ただそれもこれも全てが計算づく?と思わせるあたりが「クール・ウィッチ」たる所以か。
舞台は今回都内ということで、お馴染み桜宮市の東城大附属病院の面々は出てこないが、先に書いた通り『医学のたまご』とのリンクは顕著。というよりこの作品は『医学のたまご』の前日譚と言って良く、この作品を読んでからだと薫クンたちを違った目で見るようになる。どこまで作者が意図して相関図を作り上げていたのかはわからないが、これといった破綻もなく世界を構築している手腕には脱帽である。
それにしても産婦人科(に限らず、医療全体だが)の現状はこれほど酷いものなのだろうか。
政権交代も必要だったかも知れないが、もっともっと根本的に見直すべきことが山積しているようだ。
そういえば海堂作品、今度は『ナイチンゲールの沈黙』がTVドラマ化されるようだが、2時間枠で一体何を描き得るのか。別物と割り切れば楽しめる作品になっていることを願うのみだ。
海堂尊/著 『ジェネラル・ルージュの伝説』に引き続きこちらも読了。この作品の主人公は産婦人科医・曽根崎理恵。人工授精のエキスパートである彼女の元に5人の妊婦が訪れるが、代理母出産に手を染めているという噂もあり・・・・というストーリー。 海堂作品は、どの作品においても、現役医師である作者が、小説という手法を使っていろいろなことを訴えていますが、これは今までの作品よりも社会に対する訴え(言葉を悪く言うと毒を吐いているというか)というものを感じました。これは読む人が女性か男性か、出産経験があるかない...... more
海堂尊著「ジーン・ワルツ」をようやく読了しましたー。「ひかりの剣」に出ていた清川さんが準主役で出てると聞いてから、ずっと読みたかったのですが、図書館で予約してもなかなか来なくて・・・。 本作は「チーム・バチスタ」シリーズの番外編に位置づけられると思います。海堂さんの作品は、他の作品とのリンクがたくさんあるので、読む冊数が増える程に、楽しみが増していく感じがして、いつも楽しみなんですよね。 で、今回は、今社会で問題となっている産婦人科の医師不足、不妊治療、代理母などが主要なテーマとなっていて、帝華大...... more
『ジーン・ワルツ』 海堂 尊 新潮社【comment】こちらは、海堂氏の『医学のたまご』の関連作品で、それより十数年前の物語である。そこで主役だった曽根崎薫―中学生なのにひょんなことから東城大学医学部で勉強することになった男の子―は、世界的なゲーム理論学者である曽根崎伸一郎の息子だが、不自然な父子家庭形態で暮らしていた。その理由というか薫のルーツともいえる物語を、薫の母親である曽根崎理恵の視点から描き出しているのだ。(*だが、『医学のたまご』を未読の方でも『バ...... more
ジーン・ワルツ/海堂 尊 ¥1,575 Amazon.co.jp 産婦人科医・理恵――人呼んでクール・ウィッチ。医者がヒトの生命を操ることは許されているのか? 現役医師作家が挑む、現代日本最大の医療問題。『チーム・バチスタの栄光』を超える強烈なキャラクターとスリリングな展... more
装幀は新潮社装幀室。初出「小説新潮」。 東城大学を経て帝華大学産婦人科で教鞭を執る曾根崎理恵は 人工授精のエキスパートです。 激減する産科医、不妊治療、代理母など 産婦人科医療の様々な現状を凝縮しぎ..... more
{/book/}「ジーン・ワルツ」 海堂尊 海堂さんの新作は婦人科医療が題材。 これまでの海堂作品の人気キャラ、白鳥や田口は出てきません。 主人公の曽根崎理恵は“クール・ウィッチ”と呼ばれる美人で切れ者で顕微鏡下人工授精のスペシャリスト。彼女はその立場を利用してあることを行うのです。行政や医局の妨害に遭いながらも自分の信念に基づいて理想の産婦人科医療を追求していくというストーリー。彼女の行動はあまりにも大胆不敵すぎて、それをどう受け止めていいのかが本当に難しい。患者さんのためという気持ちは分かる...... more
ジーン・ワルツ 海堂 尊 JUGEMテーマ:読書 桜宮市・東城大学医学部を卒業、東京・帝華大学に入局した32歳の美貌の産婦人科医、曾根崎理恵―人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。顕微鏡下人工授精のエキスパートである彼女のもとに、事情を抱えた五人の妊婦がおとずれる。一方、先輩の清川医師は理恵が代理母出産に手を染めたとの噂を聞きつけ、真相を追うが…。 近所の産婦人科がレディースクリニックになってしまったり、里帰り出産をしたいのに実家で受け入れてくれる病院がないって話を聞いたり、産婦...... more
クール・ウィッチ(冷徹な魔女)と呼ばれる 産婦人科医・曾根崎理恵が主人公の物語。 理恵は顕微鏡下で行う、 人工授精分野での専門家。 理恵が週1で勤務する、 マリアクリニックという名の産婦人科医院。 その彼女のところに診察にくる それぞれ事情をかかえた、 五人の妊婦が絡みます。 先輩である清川医師、 彼は理恵が代理母出産に 関わったとという噂を耳にし、 真実を知るため動く。 今回の作品、 崖っぷちの産婦人科の、 医療行政に対する、 問題を提起しながら 曾根崎理恵の信念を貫くストーリー。 理想...... more
「産婦人科医の曽根崎理恵は大学で講師もしながら非常勤の医師として産婦人科マリアクリニックへヘルプで行っていた。その病院はある事情で間もなく閉院となることになっていて、最後の五人の妊婦のお産を終えるまではキチンとサポートする予定でいた。 理恵が個人的な... more
海堂尊著 「ジーン・ワルツ」を読む。 このフレーズにシビれた。 何もしないで現状を支えていくという選択肢の方が危険な道です。理想の医療といる影に捕らわれて、医師がどん ...... more
『ナイチンゲール~』がドラマ化ですか!!!
どうなるんだろう・・・・(^^;
そして伸一郎さんは全ての事情を承知してるのか、それとも知らないのか、どんな気持ちで薫クンを育ててきたんだろう、なんてことも気になるようになりましたね。
『ナイチンゲール』のドラマ版は、原作とは全く違うお話のようですな。
小夜ちゃんは出てくるけど・・・。