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『教養のツボが線でつながる クラシック音楽と西洋美術』 中川右介

『教養のツボが線でつながる クラシック音楽と西洋美術』 中川右介_e0033570_6275829.jpgクラシックの入門書として作曲家のエピソードを取り上げたり、音楽史の流れを説明した本はあるし、同じように画家の様々なエピソードや美術史を解説した入門書もあるけれど、画家と作曲家を一緒に並べた本というのはかなり珍しいんじゃないかと思う。

ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエルロ、フェルメール、ベラスケス、ルーベンス、ヴィヴァルディ、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、アングル、ドラクロワ、ゴヤ、シューベルト、ロッシーニ、ベルリオーズ、メンデルスゾーン、シューマン、ショパン、ミレー、モロー、ブルックナー、ブラームス、ヴァーグナー、マネ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ドヴォルジャーク、チャイコフスキー、マーラー、クリムト、ドビュッシー・・・といったビッグネームが、西洋史の流れで次々と出てくるのは、ある種の快感を導き出す。

絵画と音楽にはあまり関連性があるように思わなかったのだが、「時代」という括りで見ると、やはり有形無形の影響をお互いに与えあっていたようだ。音楽だけ、絵画だけ、という取り上げ方では、本質には充分迫ることが出来ないということか。

となると、あとは文学も加えてみたくなる。
例えばショパンと同棲生活を送っていた作家のジョルジュ・サンド、この二人の肖像画を描いたのはドラクロワだったが、サンドが開いていたサロンの常連には作家のアレクサンドル・デュマ(大デュマ)やバルザックがいた。作曲家のリストもショパンやサンドと親交のあった一人。
また詩人のハイネも、作曲家のベルリオーズ、ロッシーニ、メンデルスゾーン、ワーグナー、作家のユゴー、思想家のマルクスらと共にショパンやサンドと交流があったりと、こうしてみると、芸術というのはジャンルで切り分けて捉えるものではないな、と思えてならない。総合的、総括的に語られた本も読んでみたいものだが、適当な本はないものだろうか。
by odin2099 | 2009-10-15 06:29 | | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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