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『レーガン/大統領暗殺未遂事件』(2001)

米ソ冷戦時代の1981年3月に起きた、就任直後のレーガン大統領狙撃事件を扱ったポリティカル・サスペンス。
暗殺は未遂に終わったものの、大統領の容態は予断を許さない。ブッシュ副大統領も不在の中、不穏な動きを見せるソ連に対すべくヘイグ国務長官が指揮を取ろうとするが、それを快く思わない高官達も多くホワイトハウスは混迷を極める。

キューバ危機を扱った『13デイズ』と同工異曲の作品で、製作総指揮はオリバー・ストーン。
医師団と政府高官のやりとりなど、真面目であればあるほど滑稽さが浮き上がってくるが、これも実話ならではの重みか。
TV用の映画ではあるが、リチャード・ドレイファスの熱演もあって締まった見応えのある作品となった。

以上、「お茶の間」から転載。
『レーガン/大統領暗殺未遂事件』(2001)_e0033570_23391333.jpg今回観るのは2回目だけれども、やはり見応えのあるドラマである。
リチャード・ドレイファスのヘイグもリチャード・クレンナのレーガンも、それほど本人に似ているわけではないが、説得力というかリアリティが感じられるのは役者の力量だろう。

それにしても、核の起爆スイッチの入ったバック(を持った男)が行方不明になったり、国防長官が軽はずみな行動を取ったことがかえってソ連を刺激したり、レーガンの病室内に不審者の侵入を許したり、一緒に狙撃された報道官の死亡を誤報したり、という有様はまるでドタバタ喜劇。

また、頑なに大統領代行の座に就こうとしないブッシュと、危機を乗り切ることに全身全霊を傾けているようでいて、どこか権力欲に取り憑かれているようにも見えるヘイグ、そのヘイグを徹底的に嫌っている大統領側近の面々の姿も、未曾有の危機の前にどこか滑稽である。

その一方で、レーガンの手術を行った医師団を、人間味を持ちながらもプロフェッショナルな男たちとして描き、画面ひいては物語全体を締める効果をもたらすなど、脚本と監督を務めたサイラス・ナウラステの手腕も評価して良いと思う。
by odin2099 | 2009-11-04 23:40 | テレビ | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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