『フロスト/ニクソン』
2009年 11月 24日

そうそう、『銀河鉄道999』のミュージカルも観たっけ。
といってもSKDのヤツではなく、都倉俊一(シュン・トクラ名義)が音楽を担当した『GALAXY EXPRESS 999/The Musical』という作品で、メーテルを演じたのは先日亡くなった大浦みずき・・・・・・合掌。
この作品はピーター・モーガンがロンドンの小劇場のために書き下ろした作品の翻訳劇で、TVのタレントとして活躍していたデビッド・フロストが、ウォーターゲート事件によって辞任したリチャード・ニクソン元大統領にインタビューするという野心的な企画を立てることからスタート。ニクソン陣営もこれをイメージアップの好機と捉え、ほどなく実現。インタビューは終始ニクソンのペースで進められるが、最後にフロストはニクソンから決定的な一言を引きだすことに成功する、という実話を基にしたものである。
出演はニクソンに北大路欣也、フロストに仲村トオル。
フロスト陣営のTVプロデューサー、ジョン・バート役に中村まこと、ベテラン記者ボブ・ゼルニックに安原義人、執拗にニクソンを追い詰める若きジャーナリストのジム・レストンに佐藤アツヒロ。
対するニクソン陣営は、首席補佐官ジャック・ブレナンに谷田歩、敏腕エージェントのスイフティ・リザールに中山祐一朗という配役。
演出は鈴木勝秀。

ということでどうしても映画版と比較してしまうのだが、映画版でニクソンを演じたのはフランク・ランジェラ、同じくフロストはマイケル・シーンで、この二人はロンドン公演からブロードウェイへ進出した後もずーっと演じ続けているのだから、これは勝負が悪い。先にこちらの舞台版を観ていれば感想も変わったかもしれないが、北大路欣也では貫禄不足だし、仲村トオルは・・・。
昔からこの人の芝居は生理的に合わないようなのは置いておくとしても、フロストを演じるには軽さが足りないように感じられた。それに気取った台詞回しも浮いている。
浮いていると言えばレストン役の佐藤アツヒロも同じ。この役は、全体の語り部も兼ねた進行上大変重要な役にも関わらず、台詞が聞きづらい。
そんな中で流石の存在感を見せているのが、ゼルニックを演じた安原義人。
ご存知のように声優としても大活躍している人で、実際映画版ではケビン・ベーコン扮するブレナンを吹き替えていたりするのだが、こちらでは真逆の役回りなのが面白い。
実際に拝見するのは今回が初めてなのだが、ベテラン舞台俳優らしい安定感は作品全体を引き締めていた。
ただそれでもクライマックスの、フロストとニクソンとの丁々発止のやり取りは充分に見応えがあり、その後の余韻を持たせた二人のラストシーンも良い。再演の機会でもあれば、おそらく自分の感想も変わってくるのではないか、と期待もしている。
ちなみにこの作品、2時間を一気に見せる一幕物。
お話の流れを知っているだけに、どこで休憩が入るのかと気になってしまっていたが、途中で流れを切らない構成は正解だと思う。