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『宇宙戦艦ヤマト/完結編<70mm版>』(1983)

いよいよ『復活篇』公開が近付いてきたので、これが最後のお浚い。敢えて残しておいた(?)「ファイナルヤマト」の再編集版です。

「ヤマト」の劇場用作品は全てリアルタイムで、しかも映画館で観てきましたが、この作品だけは別。
なんせ11月の頭に一週間だけの限定公開。春や夏の長期の休み期間ならいざ知らず、学生しかも受験生とあってはおいそれと観に行くことが出来ません。
ようやく観ることが出来たのは公開から5年近く経った頃で、レンタル店に置いてあるのを発見した時でした。

『宇宙戦艦ヤマト/完結編<70mm版>』(1983)_e0033570_23245933.jpg観終わって最初に思ったのは、「これってわざわざ作る必要があったのかな」ということ。
最初の劇場公開版の時にカットされた島大介と弟の次郎のシーンが復活し、島というキャラの幅が広がったことや、古代やデスラーの台詞の一部で気になっていたところが再アフレコで差し替えられていたり等々、改善されている箇所も多々あってそれはそれで嬉しかったのですが、古代と雪のラブシーンはカットされちゃうし、エンドクレジットが出た後で延々と15分近くもドラマ部分が続くのはどうかと思うし、期待していたほどクオリティが上がっているようには感じられなかったんですよね。

ただそれから時間をおいて観直してみると、シーンの追加やショットのリテイク、再アフレコ、BGMの差し替え、再編集はやはりそれなりの効果をもたらしていることにも気付き、こちらのヴァージョンの存在意義も理解出来るようになりました。もっとも両ヴァージョンを共存させてくれれば、一番良かったのですが。

ところでこの「ファイナルヤマト」、当時から色々と違和感を覚えてました。
撃墜されたはずのヤマトが自動操縦で地球に帰還出来るはずがないとか、トリチウムを搭載したヤマトがワープして大丈夫なのかとか、宇宙空間に海が出来るのは変だとか、そういうツッコミどころはとりあえずおいておいて、またヘルメットを着用していなかった古代が助かったことが、宇宙放射線病を克服した沖田艦長復活の伏線になってないのは勿体ないなー、ということでもなく、もうちょっと違う、過去作品との連続性といったところです。

ぶっちゃけ、コスモタイガーのカラーリングや、雪のコスチュームの色が急に変わったのも気に入らなかったりするのですが(それに申し訳ないけれど、島の声が仲村秀生から ささきいさお に交代しているのも理由の一つ。ご病気では仕方ないのですが、最後だけに残念。そういえば後になって仲村秀生は追加で録音してるそうなんですが、どの場面だったのでしょう?)、一番大きいのは音楽面。
この作品では従来の宮川泰に加えて羽田健太郎が参加し、二人が素晴らしい作品を作り上げているのですが、なんかそのコラボレーションが上手く行ってないように思うのです。
相乗効果ではなく相殺しちゃってるように思えてならないのは気のせいでしょうか。

単純に曲数が多すぎてめまぐるしすぎるということもあるのですが、例えば同じ西崎プロデューサーの作品『宇宙空母ブルーノア』では平尾昌晃が地球側の音楽を作曲し、船山基紀がそれをアレンジし、宮川泰は敵方のゴドムの音楽を作・編曲し、ブルーノアとゴドムが入り乱れる戦闘シーンなどの音楽も宮川泰がアレンジするという(一応の)棲み分けが図られ効果を上げていたと思います。
また後の『オーディーン/光子帆船スターライト』も宮川・羽田コンビですが、こちらも上手くパートが割り振られ、成功でした。

ところがこの作品ではヤマト側の音楽も、ディンギル帝国側の音楽も、そしてアクエリアスにまつわるテーマも二人で(何曲も)作曲し、その中で画面にあった曲を選曲しているので、要するに統一感がないのです。
また要のシーンでは羽田メロディーが前面に出ている部分も多く、結果的に独特の宮川節がない、「ヤマト」らしくないなぁと感じてしまっているのですが、これは考えすぎでしょうかね。

ともあれ待望の新作公開まであと僅か。
願わくば作品を観た後でも、「ヤマト」ファンでいられる作品になっていますように。
Commented by Brian at 2009-12-01 05:36 x
この「ファイナル・ヤマト」劇場では観てません。
というか、地元の映画館で上映されませんでした。

最近、ヤマトを見直しているせいか、統一性がない粗っぽさがあちこち感じられますね。(笑)
「スターシャ死亡編」だと、「新たなる旅立ち」と「永遠に」は物語として存在しなくなるわけで・・・。
ま、ヤマトだから何でもありということなんでしょうが。(苦笑)

仲村秀生さんの声は、沖田艦長に返事する時の「はい!」じゃないかと思ったのですが・・・。

エクスカリバーさんは、「復活篇」の試写会に行かれたのかと思ってましたが、どうなのでしょう?
一応、エンディングが2種類上映されて、その投票により公開時のエンディングになるそうですね。
次作もあるということなので、今回は「不沈ヤマト」みたいですね。
Commented by odin2099 at 2009-12-01 22:31
都内でも渋谷の一館だけでした。
地方では『オーディーン』公開の際に、短縮版を併映したみたいですね。
劇場で観ていたら、感想が違うものになっていたかも知れませんが。

秀生さんの声は、やっぱり自分にはわからないですねぇ。
1月の「オールナイトニッポン」の特番の時点で、既に「島=ささきいさお」は発表されていましたので、詳細はわかりませんけれど、結構重い病気だったのかも知れません。
ただその後、3月の公開までに追加録音出来たということは、アフレコをもう少し待てば「島=仲村秀生」が実現していたんでしょうか。
それとも、体力的に短いフレーズや簡単な台詞だけならこなせたということなんでしょうかね。うーん、わからん・・・。

試写会は見事に外れました。
エンディングがどちらになるにせよ、続編の製作は決まってます。
ま、ヒットすれば、でしょうけれど。
ただこれが映画なのかTVシリーズなのかは、まだ正式なアナウンスはないですね。
TVシリーズとしては、パート1のリメイク企画が動いてるので、最終的にどうなるのやら。
Commented by TANK at 2009-12-02 22:57 x
あーっ今まで「巳年同盟」なので同学年かと思っていたら
一個下だったのですねぇ
ウチは「35mm」版上映の三月時点で合格決まっていたので
ゆっくりと楽しめました(笑)

あと「オーディーン」での併映短縮版(たしか90分)も
劇場で見ました
ただもー24年前の一回きりなのでどのシーンがカットされてたのか
記憶に無し
一応ヤマトがアクエリアスの海に沈んでいくシーンで終わりだったのはたしか
Commented by pixytale at 2009-12-03 01:55 x
35mm版は70mm版に比べると音楽の付け方がかなり荒削りだったりしますが、作画が間に合わなかったりで時間が無かったんでしょうね。
台詞もいくつか変わってますが、ラストで古代とユキが沖田艦長と別れた後のところの古代の台詞、35mm版では「ユキ、僕は泣かないよ。あの人を見送るまでは」だったのが70mm版は「泣くんじゃない、ユキ。あの人を見送るまでは」に変わってたのが一番違和感がありました。何で変えちゃったんでしょうね。
Commented by odin2099 at 2009-12-03 21:45
『完結編』は本当にスケジュールが厳しかったようですね。
当初公開予定の3/12から一週間延期し、3/19にしたものの、結局地方では間に合わなかった所もあったようですし。映画館はお客さんにどう説明したんだろ?
なんでも公開前日まで作画・撮影・編集作業をやってたとかいう話ですしね。
『さらば』は2~3日前に完成したらしいし、『永遠に』は一週間近く前に出来あがったのかな。
『新たなる』は放送前日に完成、とそれまでもギリギリではあったんですけどね。
それに比べると今回の『復活篇』は凄いですなぁ。公開2週間前に試写会を開けるとは・・・!

>巳年同盟

どういうワケか(?)早生まれの人が多いなぁ(爆)。
pon姐さんも早生まれだし。
Commented by しゅう at 2009-12-05 22:13 x
 ヤマト完結編の話、懐かし~い!!(^^)。
 35mm版公開前日の地元新聞夕刊の広告に「フイルムが間に合わなくて午後からの上映・・・」みたいなおわびが載っていて「公開日に間に合わない映画って???」驚いたことを今回思い出しました。
 私も東京国際フォーラムの試写会は応募してましたが、抽選外れました。でも、地元のほうでも試写会があるので応募しましたが、当たるかな・・・?。 
Commented by odin2099 at 2009-12-05 23:21
どうやって告知したのかと思ってたんですが、そうですか、新聞広告も出たんですかー。
当時の貴重な情報、有難うございました。

公開までもう一週間ですから、試写会はもういいや(爆)。
いや、単に両ヴァージョンを見比べたかっただけですので。
TBSでは今夜、特番を放送。その後でパート1の映画も早朝にかけてオンエアーされます。
いよいよホントに来たんだなぁ、と感慨も新たです。
Commented by マイケル村田 at 2017-08-07 22:06 x
たしかこの「宇宙戦艦ヤマト 完結編」、「オーディーン」が公開された1985年にゲームセンター用にLDゲーム化されていた実績もあったなぁ…。それがTAITOの「宇宙戦艦ヤマト」。ヤマトシリーズ初のビデオゲーム作品にして最初で最後のアーケードゲーム作品(ヤマトシリーズとしてはね)。ジャンルはアクションシューティングで、操作は8方向のジョイスティックと2ボタンの操作かな…。 使用されている映像素材に関してですが、「さらば宇宙戦艦ヤマト」、「ヤマトよ永遠に」、「宇宙戦艦ヤマト 完結編」の映像を使用されており、LDゲームなため、劇場アニメそのままの映像ですが、ゲーム用に作られた新規映像の作画も描き下ろされている模様…。まぁ、映画版に登場していたディンギルの少年やデスラー総統らが率いるガルマン・ガミラスの艦隊等は本LDゲームには未登場…。

https://www.youtube.com/watch?v=Mcbmk9_qVYA
Commented by odin2099 at 2017-08-12 16:32
> マイケル村田さん
ビデオゲームは全くわかりません。。。
Commented by マイケル村田 at 2017-09-28 23:00 x
厳密に考えてみると、1977年より続いてきて、松本零士ブームは82年の「わが青春のアルカディア」ではなく、1983年の「宇宙戦艦ヤマト 完結編」こそ、真の松本零士ブームに有終の美を飾った作品でしたね。80年代初期頃に差し掛かると、松本零士物から、ラブコメ物やリアルロボット物に移り変わる時期…。松本零士ブームはファースト・ヤマト(「宇宙戦艦ヤマト」)で始まり、ファイナル・ヤマト(「宇宙戦艦ヤマト 完結編」)で終わったと…。

ファーストヤマトから携わっていた金田伊功氏が完結編のために「ヤマト百態」という膨大なイメージイラストを描いていたものの、肝心の金田氏は「師匠の野田卓雄さんへの義理があるから」という理由で、殆ど幻魔大戦にかかりっきり状態となってしまい、ヤマト百態は実現しなかったと…。
Commented by odin2099 at 2017-09-29 20:23
> マイケル村田さん
「無限軌道SSX」の途中打ち切りと、83年夏公開予定だった「エメラルダス」の製作中止が象徴的な出来事でした。
by odin2099 | 2009-11-30 23:25 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(11)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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