『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』 オリジナル・サウンドトラック
2009年 12月 30日
この映画の製作が発表された時、音楽担当は素直に佐橋俊彦だろうと思った。
嘗て『ウルトラマンパワード』や『ウルトラマンガイア』の音楽を手掛け、近年では『ウルトラマンメビウス』、更にはTVシリーズ版の『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』を手掛けているのだから、その劇場版であり、かつメビウスも主人公格として活躍する訳だから、これ以上の適任はいない。そしてそれに前作『大決戦!超ウルトラ8兄弟』や前々作『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』同様に、ウルトラのマエストロ冬木透がサポートする、そうに違いないと。
ところが蓋を開けてみると「マイケル・バータ」の名前。
一体全体、コイツは何者なのだろう?
調べてみてもあまり情報は得られなかった。
ハリウッドでは実績もあり、知られた存在なのだろうが、日本では全くの無名。そんな人物にウルトラシリーズの音楽を任せて良いものか。

従来のシリーズの枠を超えたスケール感、配給がワーナー・ブラザーズに代わっただけじゃなく、音楽面でも世界的スケールを持つ作品に昇華していたのだ。
”新生”円谷プロのやる気、本気が観ている(聴いている)側にもヒシヒシと伝わってくるような、そんな重厚なサウンドに仕上がっていた。
ただ難を言えば、あまりにも従来のシリーズから飛躍してしまったこと。
劇中では「ウルトラマンの歌」のフレーズがチラっと聴こえる部分もあるものの、他は完全オリジナルなニューサウンド。安易に歴代シリーズの主題歌を引用、流用して欲しくはないが、どこかに聴いていて「あ、やっぱりウルトラマンの音楽だ」とストレートに伝わる部分も残しておいて欲しかった。
知らずにこのアルバムを聴いた人は、ハリウッド製のSF映画かアドベンチャー・アクション映画の音楽だろうな、とは思っても、まさかウルトラマンだとは思うまい。
それも狙いだとは思うが、それだけではやや寂しい。