金持ちのボンボン、神谷青年がカフェーの女給・弘子さんと仲良くなります。
そこへ恩田という客が現れ、弘子さんにちょっかいを出すので神谷クンは怒るのですが、恩田があまりにも異様なので怖くなります。
ただ帰り際に恩田を見かけた神谷クンは、好奇心を持って尾行するのですが、その目の前で人間とは思えぬ怪力で犬を惨殺する恩田を目撃してしまい、スゴスゴと引きさがります。
数日後、弘子さんが行方不明と聞かされた神谷クンは、記憶を頼りに恩田の家に。
ところが恩田の父に監禁されてしまい、しかも弘子さんが惨殺される現場も目撃してしまうのです。
辛うじて逃げ出してから一年後、神谷クンは人気レヴュウガールの江川蘭子さんと恋仲になってます。
実は蘭子さん、弘子さんとソックリ。
それで辛い記憶を封じ込めることに成功した、と思った矢先、再び恩田が神谷クンの前に出現、蘭子さんを浚っていきます。
窮地に陥った神谷クンは、ここで明智小五郎に助けを求めるのですが、哀れ蘭子さんが二人目の犠牲者に。
そして恩田は、次の標的を明智夫人の文代さんに定めるのでした…。
明智探偵の若く美しい新妻・文代さんが、一糸纏わぬ姿で猛獣に凌辱される。
これをエロティズムととるか、悪趣味と受け取るかで作品への評価が変わってくるんじゃないかと思いますが、自信満々で大言壮語する明智探偵、この作品ではあまり良いところがありません。
自分の奥さんが危ないとなると、日頃クールな明智探偵も我を忘れちゃうようです(そりゃそうだろうけどさ)。
それに推理を働かせるよりも、変装して忍び込んだり、追跡劇を演じたり、銃をぶっ放したりと、名探偵というよりはごくごく普通のアクションヒーローのような振る舞い。
こういうのもアリなんでしょうかね。
対する”人間豹”恩田は、半人半獣と表現されてますが、その出自は明らかにされません。
本当に超自然的存在なのか、それとも一種の奇形や業病に侵されているのか、それもサッパリ。
本当に”狼男”みたいなのか、それとも改造人間(!)かなんかなんでしょうかね。
してみると人間離れした活躍を見せる明智探偵は、今回は仮面ライダーみたいなものかも知れません。
それにしても弘子さんと蘭子さん、それに文代さんがソックリというのは出来過ぎです。
弘子さんに関しては神谷クンと恩田の好みが似てたってことなんでしょうが、蘭子さんに関してはやっぱり恩田の好みだったのか、それとも神谷クンへの嫌がらせだったのか。
文代さんに関しては、好みの女性がたまたま明智探偵の奥さんだったワケではなく、最初から明智探偵に対する挑戦でしょうから、別に似てる必要はなかったように思うのですが。