『家族八景』 筒井康隆
2010年 02月 06日
高校を卒業したばかりの美少女・火田七瀬が、住み込みの家政婦として8つの家庭を転々とし、人間の裡に秘めた暗部に触れてしまう、という物語。
そう、彼女は他人の心を読み取ることが出来るという特殊な能力の持ち主だったのだ。
文章自体は三人称であっても、その実内容は全て七瀬の視点で語られているという意味では一人称小説に近い。
彼女は他人の心が読めるだけに、彼女の眼を通して語られる人物像は真実の姿かというとそうとも言い切れない。それだけ人間の心は広くて深いということか。
平和で幸福な家庭、中睦まじそうな夫婦、そういったものも一皮むけば・・・?
それがこの作品では容赦なく暴きだされていく。
ただそれは誰もが持っている本音、殆どの人が登場人物の誰かに共感出来るのではないだろうか。
そして、自分の容姿に頓着せず、他人の心を通じて自分が美貌とグラマラスな肢体、それにアンバランスな幼さを持っている――要は男にとって欲望の対象になりやすい存在だということに徐々に気付かされながらも、やはり自覚が足りない七瀬の危うさも魅力だ。
{{{ 家族八景 筒井康隆 新潮文庫 }}} ドラマ・「七瀬ふたたび」も、いよいよ来週が最終回ですね。 随分原作のストーリーとは違っているので、どういうラストが用意されているのかとても気になっています。 [http://blogs.yahoo.co.jp/konpeitou_06/44878630.html/ 「七瀬ふたたび・メタモルフォセス群島」]の記事へのコメで、ブロ友さんたちから、本書と'''「エディプスの恋...... more