『海の底』 有川浩
2010年 02月 08日
といってもお話は繋がってないし、世界観も別物。
今のところ『空の中』しか読んでないけれど、これがジュブナイルSF、ファースト・コンタクト物、それにラブ・コメディ(?)としてかなりツボだったこともあって期待していたけれど、うん、面白いじゃん。
お話は桜祭りで賑わう米軍横須賀基地に、突如巨大なエビというかザリガニというか、とにかく”甲殻類”の大軍が現れるところから始まる。次々と人を食い始めるので大パニック!主人公の夏木三尉と冬原三尉は、有能ながらも海自きっての問題児なのだが、成り行きから、高校生の少女を筆頭に13人の小中学生と共に潜水艦の中に立て篭もる羽目に。
一方、事態に対処する県警本部の明石警部と、機動隊の隊長・滝野警部ははみ出し者、更に警視庁から派遣されてきた烏丸警視正は型破り、おまけに民間から甲殻類の専門家として招かれた科学者の芹澤はかなりのオタク・・・とヒーロー然としたキャラクターは一人もいない。
一応ヒロイン役の女の子もかなり複雑なキャラだし、ネットを通じて側面支援をすることになるのも軍事オタクたちだ。で、これが脇役に至るまでみんなキャラが立ってるんだな、これが。
上の方のレベルで警察と自衛隊との縄張り争いがあったり、政治的に自衛隊突入を政府がなかなか決断出来なかったり、場所が場所だけに米軍が黙っていなかったり、という対極的な混乱がある一方、潜水艦に閉じ込められている子どもたちにも、複雑な家庭環境だとか近所づき合いから来る力関係だとか、小さいながらも深刻な問題があって、これらが混然一体となって物語を盛り上げてくれる。
うわー、これ、映像で観たいなぁ。
一昔前なら「映像化不可能」のレッテルを貼られてオシマイだったろうけど、今の技術なら何とかなるんじゃないか(あ、勿論アニメじゃなく実写で、ね)。
もっともよっぽどの脚本家と監督、それに俳優さんを揃えないと、中途半端で陳腐なものになっちゃうかなぁ。「怪獣モノ」ってだけでバカにする人もいるだろうし。だとすると、夢は夢のままにしておいた方が良いのかなぁ。
『空の中』もそうだったけれど、ハッピーエンドの後のエピローグ部分で、登場人物たちの「その後」が語られるのも嬉しい。
本当は別の作品で「続編」という形でも読んでみたいな、と思わないでもないけど、これが蛇足でなくきちんと物語に組み込まれているのも良い。





