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『海の底』 有川浩

『塩の街』、『空の中』と共に<自衛隊三部作>と呼ばれているらしい最終作。
といってもお話は繋がってないし、世界観も別物。
今のところ『空の中』しか読んでないけれど、これがジュブナイルSF、ファースト・コンタクト物、それにラブ・コメディ(?)としてかなりツボだったこともあって期待していたけれど、うん、面白いじゃん。

『海の底』 有川浩_e0033570_621306.jpgお話は桜祭りで賑わう米軍横須賀基地に、突如巨大なエビというかザリガニというか、とにかく”甲殻類”の大軍が現れるところから始まる。次々と人を食い始めるので大パニック!
主人公の夏木三尉と冬原三尉は、有能ながらも海自きっての問題児なのだが、成り行きから、高校生の少女を筆頭に13人の小中学生と共に潜水艦の中に立て篭もる羽目に。
一方、事態に対処する県警本部の明石警部と、機動隊の隊長・滝野警部ははみ出し者、更に警視庁から派遣されてきた烏丸警視正は型破り、おまけに民間から甲殻類の専門家として招かれた科学者の芹澤はかなりのオタク・・・とヒーロー然としたキャラクターは一人もいない。
一応ヒロイン役の女の子もかなり複雑なキャラだし、ネットを通じて側面支援をすることになるのも軍事オタクたちだ。で、これが脇役に至るまでみんなキャラが立ってるんだな、これが。

上の方のレベルで警察と自衛隊との縄張り争いがあったり、政治的に自衛隊突入を政府がなかなか決断出来なかったり、場所が場所だけに米軍が黙っていなかったり、という対極的な混乱がある一方、潜水艦に閉じ込められている子どもたちにも、複雑な家庭環境だとか近所づき合いから来る力関係だとか、小さいながらも深刻な問題があって、これらが混然一体となって物語を盛り上げてくれる。

うわー、これ、映像で観たいなぁ。
一昔前なら「映像化不可能」のレッテルを貼られてオシマイだったろうけど、今の技術なら何とかなるんじゃないか(あ、勿論アニメじゃなく実写で、ね)。
もっともよっぽどの脚本家と監督、それに俳優さんを揃えないと、中途半端で陳腐なものになっちゃうかなぁ。「怪獣モノ」ってだけでバカにする人もいるだろうし。だとすると、夢は夢のままにしておいた方が良いのかなぁ。

『空の中』もそうだったけれど、ハッピーエンドの後のエピローグ部分で、登場人物たちの「その後」が語られるのも嬉しい。
本当は別の作品で「続編」という形でも読んでみたいな、と思わないでもないけど、これが蛇足でなくきちんと物語に組み込まれているのも良い。
Tracked from 読書狂日記 at 2010-02-08 23:17
タイトル : 海の底
 『空の中』に続くSFパニックだが、ファンタジー色の強い『空の中』より、こちらの方が好きだ。映画化しても良いかもね。素人目にもCGが大変そうだけど。 ・内容 4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲..... more
Tracked from たいむのひとりごと at 2010-02-09 16:57
タイトル : 『海の底』 有川 浩 〔著〕
既刊分の有川作品はこれで制覇となった。それぞれが違う世界観で描かれている”自衛隊3部作”(陸:『塩の街』、空:『空の中』、海:『海の底』)。小説は出版順に読む方がしっくり来ることが多いが、シリーズや続... more
Tracked from ナナメモ at 2010-02-09 18:57
タイトル : 「海の底」有川浩
JUGEMテーマ:読書 四月。桜祭りでわく横須賀米軍基地を赤い巨大な甲殻類が襲った! 次々と人が食われる中、潜水艦へ逃げ込んだ自衛官と少年少女の運命は!? ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント! 番外編「海の底・前夜祭」も収録。 「海の底・前夜祭」が読みたくて借りたのですが、「海の底」も再読しちゃいました。内容知っててもやっぱり面白い。 今回は外で起こってることはサクサクと読み流し、潜水艦の内部、特に夏木と望のあれこれに注目して読みました。へへへ。お互い意識しているこ...... more
Tracked from おいしい本箱Diary at 2010-02-10 00:13
タイトル : 海の底 有川浩 メディアワークス
なんとなく借りた本なんですが、これが思いがけず面白かった! この巨大ザリガニが横須賀を襲撃する、という荒唐無稽な話を ここまでリアルに書ける、ということがすごいですわ。 エビを食べるのが怖くなりそう。... more
Tracked from 本のある生活 at 2010-02-14 19:42
タイトル : 「海の底」有川浩
海の底 くはー!おもしろかったですー!順番を間違えて「クジラの彼」を先に読んでしまったので、後日談とか番外編を既に知ってるわけなんですが、それでも楽しむことができました。ラブロマにドキドキして、男たちの熱いドラマに涙して、子供たちとのドタバタを楽しみ・....... more
Tracked from 映画な日々。読書な日々。 at 2010-03-02 21:51
タイトル : 有川浩 『海の底』
海の底/有川 浩 ¥1,680 Amazon.co.jp 横須賀に巨大甲殻類来襲。食われる市民を救助するため機動隊が横須賀を駆ける。孤立した潜水艦『きりしお』に逃げ込んだ少年少女の運命は!?海の底から来た『奴ら』から、横須賀を守れるか―。 先日読んだアンソロジー『Swe... more
Tracked from miyukichin’m.. at 2010-03-16 20:52
タイトル : 海の底/有川浩 [Book]
 有川 浩:著 『海の底』  海の底メディアワークスこのアイテムの詳細を見る  初めて読む有川さん。  まったく予備知識なしに読み始めたら、  予想もしていなかった“あり得ない”展開で、  なんだか冒険小説風。  このところ疲れていて、  本を読んでもなかなか進まなかった私なのに、  ぐいぐいひきつけられて、夢中で読んじゃいました。  この感じ、なんかひさしぶり。  横須賀に巨大甲殻類「レガリス」が来襲。  潜水艦に逃げ込み、立てこもる羽目になる、  少年少女たちと自衛官の6日間。  少年らの間の...... more
Tracked from みゆみゆの徒然日記 at 2010-08-11 23:17
タイトル : 『海の底』
有川浩/著  有川さんの『図書館戦争』シリーズは読んでいないけどずっと気になっている本。その前に有川さんの「自衛隊三部作」と呼ばれるシリーズの一冊『海の底』を読みました。春の桜祭りで開放された米軍横須賀基地に巨大な赤い甲殻類が現れ次々と人を襲い食っていく。停泊中の海上自衛隊潜水艦「きりしお」の自衛官は救出した13人の子供達と潜水艦内に避難し立てこもる・・・。というあらすじ。  冒頭いきなり事件が起きますが、甲殻類たちの描写がかな〜りキツかったデス・・。甲殻類自体もそうなんですけど、映画であれなんで...... more
Tracked from はらやんの映画徒然草 at 2010-10-11 21:31
タイトル : 本 「海の底」
有川浩さんの作品で通称「自衛隊三部作」と呼ばれている作品の一つです。 「塩の街」... more
by odin2099 | 2010-02-08 06:21 | | Trackback(9) | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
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