『三十九夜』(1935)
2010年 02月 20日

だがその夜、彼女は何者かに殺害されてしまった。海外に機密を売ろうとしている組織のボスは片手の小指がないこと、そして彼女の目的はスコットランドでとある男に会うことだったことを言い残して。
殺人の容疑を掛けられたハネイ氏は逃避行を続けるが、警察、そして組織の者たちが執拗に彼をつけ狙うのだった。
ジョン・バカンの小説を、アルフレッド・ヒッチコックが監督したサスペンス映画。正味が80分程度で、最後がかなりあっけない気もするが、ハラハラドキドキしながら集中して楽しめた一篇。事件に巻き込まれ、最初はおどおどしていた主人公が段々とふてぶてしく変貌していく様は面白い。
四面楚歌の孤独な逃避行を続ける主人公だったが、束の間の安らぎを与える存在となる人物が若く美しい人妻というのはエロティックだし、成り行きから彼と同行する羽目になり、最初は何とか逃れようとしているものの、やがて真相を知るや彼の協力者となるヒロインは、彼と手錠で繋がれたままストッキングを脱いだり、同じベッドで寝ることになったりと、こちらもかなりエロティックなシチュエーション。
それ以外にも全体的にエロティックな雰囲気が漂っているのだが、それも狙いなのかな。
ところで今回観たDVDの字幕、”THE 39 STEPS”を、「三十九夜」と訳したり「三十九階段」と訳したりとマチマチなのは頂けない。観ていて混乱するだけである。
