『源氏と日本国王』 岡野友彦
2010年 02月 28日
簡単に言うと「征夷大将軍は日本の国王なのか」とか、「源氏でなければ征夷大将軍にはなれないのか」といった疑問点に答えてくれる一冊です。
ただ、それを知る上での前提条件は、結構難しいのです。

「姓」というのは天皇が与える公的な名前、「苗字」は私称する名前なんだとか(だから皇室に姓はないわけですね)。
明治維新以降、この二つに違いはなくなるのですが、「源」「平」「藤原」「橘」などが「姓」、「新田」「足利」などが苗字。だから室町幕府の開祖「尊氏」は私的には「足利尊氏」ですが、公的には「源尊氏」となるということだそうです。
その中でも「源氏」は天皇の子どもたちを、言葉は悪いですが人減らしの為に「姓」を与えることによって臣籍降下、つまりは天皇の一族からは除外し臣下にしたものの、天皇に近い血筋ではあることには変わりがありません。
「平氏」も同じような立場ではありますが、次第に台頭して行った「源氏」が彼らの代表として認識され、政界の中心を占めるようになります。一方で同じ「源氏」であっても中央から除外され、地方に下ったものも出てきます。ここに、「公家源氏」と「武家源氏」とが分かれていくのですが・・・・・・
と、ここでもう付いて来られなくなってきた方は多いと思いますので、興味のある方は是非手にとってご一読下さい。
織田信長や豊臣秀吉が征夷大将軍にならなかった(なれなかった?)理由、徳川家康が「源氏」を称して征夷大将軍になった理由などなど、通り一遍の日本史の授業ではまず知り得ない側面が味わえます。