『空飛ぶゆうれい船』(1969)
2010年 03月 15日
予算や製作日数は少なめか、と思わせる部分もあるが、ややアナクロな少年向き冒険活劇と社会派ドラマが奇妙に同居している快作。
時代の風潮がそうさせたのか、マスコミや政財界への皮肉をきかせた内容は、<東映まんがまつり>としてはややハードすぎる嫌いがあり、当時の現役の観客(=児童)は、この作品をどう受けとめていたのかに興味がある。
充分に今日的なテーマといえる。
とはいえ60分という時間の中では舌足らずの印象を受けてしまうが、これは<まんがまつり>という制約の中では仕方あるまい。
黒幕の「ボア」の正体も最後まで曖昧なままだが、これはこれで効果的ですらある。
同じ石ノ森章太郎の『サイボーグ009』における<黒い幽霊団>(ブラック・ゴースト)が、人間の心が産み出した抽象的なもの、と解釈できるのと基本的には同じなのだろう。
原作コミック『幽霊船』を未読のために、どの程度原作が活かされているのかは定かではないのだが。
かといって本作は、決して重苦しさ一辺倒のドラマではない。
漫画映画として充分楽しめる作品である。
絵的にも、「空飛ぶ船」の図、というのは正に男の子のロマンの具象化。
主題歌「隼人のテーマ」も冒険の香りに彩りを添える出来であるが、エンディングに1コーラスしか流れないのがちょっと残念。
久しぶりに観直してみました。
感想は例によって転載ですが、うん、この通りですね。
どうも一部では、「原画マンとして宮崎駿が参加している作品」ぐらいにしか評価してないみたいだけどトンデモナイ話。
変な先入観なしで楽しまにゃ損、てなものです。
これより前に作られた『サイボーグ009』はキャラクターがまるで別物だったけれど、この作品ではかなり特徴を掴んでいて、全体的に「あ、石ノ森作品だ」という気分が漂ってますけど、今ならキャラをもっと石ノ森タッチで表現することも出来るだろうから、1時間半ぐらいに拡大してリメイクしないかなぁ。
この当時としても、のちのちの様々なSF様の作品の中に放り込んでも、物語としてもメカ設定としても、スケール感や迫力、神秘性、謎解きの面白さという点でかなり高レベルだと思っています。
あいにくテレビでしか観ていないので、ノーカット版というのを知らないのが残念。
こんな作品こそ、腕利きの監督の手で(もちろんシナリオの手直しは必要ですが)実写ものか完全リメイク作品として21世紀に甦ってもよさそうだと思います。
主題歌、かっこいいですよねー。大好きでしたねえ。千々松幸子さんが歌うボアジュースのCMソングも耳から離れませんが。
多分、賛同して頂けるんじゃないかと(笑)。
中途半端に現代的にアレンジされちゃうとつまんなくなりそうですが、今でも十分通用する題材だと思いますね。
「SF怪奇長編まんが」という当時のコピーそのままに、石ノ森タッチでリメイクして欲しいものです。
ところで「ボワジュースのうた」、実は滝口順平さんと堀絢子のデュエットなのです。
待っていていただいたのに?さっそくボケかましました(;´д`;)
確か一昨年BSでやった『とことん石ノ森章太郎』では、完全版で放送してたかと思いますが。
堀さん、最近の活躍はあまり聞かなくなりましたが、お元気なんでしょうか。
ハットリくんが好きだったりします。ニンニン。