『サンダーバード』(2004)
2010年 04月 01日
人形劇として大人気だった『サンダーバード』を、ライブアクションでリメイクした作品。
物語の位置付けは、トレーシー一家の末っ子アランが、まだ国際救助隊の正規メンバー入りをする前、つまりTVシリーズの前日譚。
孤島(トレーシー・アイランドだ)を舞台に、アランやティンティン、それにブレインズの息子らがメインの、『ホーム・アローン』や『スパイ・キッズ』もかくや、という冒険モノで、これがあの『サンダーバード』だと思わなければ結構楽しめる。あくまで「思わなければ」だけど。
製作期間中からあまり良い話が聞えてこなかったので、バリー・グレイのテーマ曲さえ使ってくれさえすれば、どんな内容だろうと構わないや、とまで思っていたのだが、うーん、ちょっと待ってくれ。シリーズの1エピソードならこれも良いだろうけど、この内容で『サンダーバード』というタイトルが付けられ世界中に公開され、今まで見たことなかった人たちに「へぇー、『サンダーバード』ってこういうお話なんだー」と勘違いされたら困るぞ、おい。
国際救助隊が全然活躍しない『サンダーバード』ってのはアリなのか?
メカの活躍しない『サンダーバード』はアリなのか~?!
やっぱりアメリカ映画じゃ無理だったのかなぁ。
実は『サンダーバード』のオリジナルはイギリス製。しかもセールスに失敗したのでアメリカじゃ殆ど知られていないのだ。そういう人たちがオリジナルに敬意を払った作品作りをするかというと・・・ねぇ。
こうなったら何としても続編を作ってもらって、今度こそ正攻法の『サンダーバード』世界をスクリーンに展開して欲しいものだが、夏シーズンの大作としてはアメリカじゃかなり厳しい興行成績だし、イギリスでも今一歩。残る希望は、もしかしたら世界で一番熱狂的なファンがいるかも知れない日本での興行収入のみだ。
それを見越したのか「続編の舞台は是非日本にしたい」とスタッフもリップ・サービスを連発。V6のトンデモ吹き替えも必要悪と認めるしかなさそうだが、どうも日本も旗色悪そう。仕方ない、もう一度行ってくるかな。今度は吹き替え版でも。
× × × ×
えー、結局2回目を観ることなく、時は流れて6年近く。続編の話題なんて全く出なくなっちゃいましたねー。
ようやっとDVDで吹替版を観たけど、うーん、それほど酷くはなかったかな。というより、アフレコの上手い下手を論じるレベルに、作品そのものが至ってないってことかも。
ま、それでも以前に書いた通り、映画としては決してつまらなくはない。
ビル・パクストンやベン・キングズレーらは頑張っているものの、総じて魅力に乏しいキャスト陣などなどに高望みさえしなければ、だけど。
でも『サンダーバード』だと思っちゃうと・・・ダメだなぁ。どうあっても『サンダーバード』に見えないんだもん。
ファイヤーフラッシュやゼロX号のリメイクでもいいけれど、ちゃんと国際救助隊が活躍するパート2、作って欲しかったです、ハイ。
そーね、サンダーバードやと思わんかったら…せやけどそう思わんかったらメカの必然性も消滅しますわね。
しかしハリウッドのカチカチCGではあの重厚感は今のところ無理ですなあ。むしろ日本のアニメの方がずっと重量感のあるものが作れますから。
背の高い建物はともかくも、大仏さん、大和、とにかく身の丈に合わんデカいモンは日本人の十八番でしょう。
というより、これはスタッフの経験値の差でしょうが。
セルアニメでも出せるものが、本来CGで出せない筈はないですから、研究不足や時間不足、そしてセンスの有無が問われるのでしょう。
この作品でリファインされたサンダーバード・メカ、最初は違和感だらけでしたが、動いているのを見るとそれほどでも。ただ、如何せん活躍の場が無さすぎますね。
人為的だったり、あるいは自然に発生した災害でも良いですが、その事件発生からバリー・グレイの音楽に乗せて発進するメカで、命がけの救助作業をするトレイシー一家の活躍を、是非とも見たいものです。
映画ならではのスケールというのなら、『エアポート』シリーズや『タワーリング・インフェルノ』、『ポセイドン・アドベンチャー』のリメイク権を入手し、それをベースに国際救助隊の活躍を描くというのも一つの手かも。
巨大感、『ウルトラマンパワード』でも失敗してましたからねー。これは日本の専売特許なのかな。