『マウストラップ/ねずみとり』
2010年 05月 06日
この作品は日本でも何度か上演されているらしく、大和田伸也が演出を務めるようになってからも2003年、2005年、2007年に続いて今回が4回目だそうで。
キャストは毎回入れ替わりがあり、初演以来不動なのは内海光司だけ。

1年前に結婚したジャイルズとモリーのロールストン夫妻は、ロンドン郊外にゲストハウスをオープン。しかしその初日は生憎の大雪、しかもラジオや新聞はロンドンで殺人事件が起こり、その犯人は逃走中だと報じていた。
そんな猛吹雪の中、予約客4名が次々と到着。落ち着きのない若い建築家クリストファ、不機嫌で尊大な年配の女性ボイル夫人、中年の軍人メトカーフ少佐、男性のような立ち振る舞いの若い女性ミス・ケースウェル。そこへ雪で車が動かなくなったという外国人のパラビチーニ氏が現れ、急遽宿泊することに。
翌日、雪で外界から孤立したゲストハウスへ警察から連絡が入り、トロッター刑事がスキーを使ってやってきた。
トロッターは、前日の殺人現場に残された手帳にここの住所が記されていたことから連続殺人の可能性があることと、10年以上前に近くの農場で起こった、児童を虐待した挙句に死に至らしめた事件と関係がありそうなことを告げると捜査を開始した。
ところがその最中、遂に犠牲者が・・・。
出演はモリーに舞風りら、ジャイルズに内海光司、クリストファに照井裕隆、ボイル夫人に榛名由梨、メトカーフ少佐に倉石功、ミス・ケースウェルに北嶋マミ、パラビチーニ氏にこぐれ修、そしてトロッター刑事に綱島郷太郎。
そして演出が大和田伸也。この人、役者だけじゃなく舞台の演出もやっていたんですな。

終演後のカーテンコールの際に、「決して結末を話さないで下さい」と言われてしまったので詳しくは書けないのだけれども、このじわじわ来る感じはなかなか良い。
対して犯人の正体とその目的は些か興醒めで、違った意味でそれは伏せておいた方が良いのかなあとも思うが、その犯人に頼った物語の構造になっていない分、ロングラン――ということはリピーターが多いということだが、それに耐え得る作品になっているのだろうな、とも思う。
しかしエキセントリックな言動のキャラやハイテンションな芝居が多いので、この過剰な演技には辟易する向きもあるかと思う(これが今回のみの演出なのか、それとも元々の戯曲からしてそうなっているのかは知らないが)。
またそのハイテンション故か、台詞のトチリが少々気にはなった。特にトロッター役の綱島郷太郎は台詞が多いので気の毒ではあるのだが、ちょっと辛いかも・・・。

再演に再演を重ね、さらに濃い舞台へと進化したように感じました。 内海光司さん演じるジャイルズ以外、全部キャスト一新です。 私は以前からハイテンションのレンが苦手だったのですが、今回の照井裕隆さんは、声色の変え方がうまくて、とても表情豊かな演技で、苦手じゃないレンでした。 ボイル夫人はあの榛名由梨さん! いやあ、ベルばら~なんて思ってしまうのはおいといて、淡路恵子さんの見事な演技の印象が強いのもあるし、ハードル高いかなあ・・ 倉石功さんはダンディで存在感があるので、メトカーフ少佐という役が映えました。 ...... more

こういうストレート,ミステリーをもっと観たいのですが,なかなか演っていない。観るのは同じくクリスティ原作の「ナイル殺人事件」(「ナイルに死す」,北大路欣也主演,2004年)以来...... more