『バスカヴィル家の犬』(1959)
2010年 05月 12日
<マスター・オブ・ホラー>ピーター・カッシングが、フランケンシュタイン男爵、ヴァン・ヘルシング博士に続いてシャーロック・ホームズを演じ、クリストファー・リーもヘンリー・バスカヴィル卿役で共演。
ワトソン博士はアンドレ・モレル、そして監督はテレンス・フィッシャー。
上映時間は83分と短く、プロットやキャラクターもかなりコンパクトに。そのためストーリーの肝の部分、バスカヴィル家の呪いって何のか、といった部分が判りづらくなってしまっているし、原作とは犯人こそ変えていないいないものの、その目的や手段はまるで別物で、かなり通俗的になってしまっているのはガッカリ。
またタイトルロールの”バスカヴィル家の犬”も控えめな描写で、もっと怪奇映画調で怖がらせるかと思っていたので随分拍子抜けした。脱獄囚と使用人夫婦の話も浮いてしまっているし。
しかしハマーらしい、怪奇映画っぽい雰囲気はなかなか良いし、カッシング演じるホームズの存在感も素晴らしい。原作通りだとホームズの出番はかなり少なく、しかも終盤に集中しているが、流石に映画では主役として存在感ある描かれ方がされている。
作品がヒットしなかったそうなのでシリーズ化には至らなかったものの、シャーロッキアンの中には、未だに彼を最高のホームズ役者として称える人も多いのだとか。ホームズとしては些か背が低いようにも感じるが、これはクリストファー・リーが高すぎるからだろう。