『ママ、南極へ行く!』 大越和加
2010年 05月 13日
というのも作者は、珍しい女性隊員であるだけでなく、主婦であり母親、つまり「ママさん」隊員なのです。
日本の南極観測史上「ママさん」隊員は初めてで、しかもその後も誕生していないそうですが、それ故の様々な苦労バナシがユニークな切り口で語られていきます。
4カ月もの間離れて暮らすことになる小学生の娘さんと息子さんを気遣う親の顔、良き理解者である同業のご主人や、近所に住んで子どもたちの面倒を見てくれているお父さん(お爺ちゃん)ら支えてくれる人へ示す感謝の念といったものが、飾らずに綴られている部分は作者ならでは、でしょう。南極体験を通じて、より家族の絆が深まっていく件は感動的です。
その一方、南極での体験談や研究に関する記述は少なめなので、そういう部分に期待している人には少し物足りないかも知れませんね。
純粋な、南極での驚きの体験談も語って欲しいところです。