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『狂戦士サングラール』(1982)

『グレート・バーバリアン』という題名でTV放映されたのを観て以来、何となくお気に入りのイタリア製アクション映画。
その後ビデオが出てからも何回か観ているはず。

神々と人間が共存していた時代、賢王として知られるアトールを妬み、悪魔は寒い国の王クローターを唆し、アトールとその民を根絶やしにしようと目論む。
しかしアトール王の末子サングラールは辛くも難を逃れ、大自然に立ち向かう立派な若者に成長する。
残された民を率いたサングラールは平和を求め、約束の地を探す旅に立つが、途中でナルクという悪漢の手の者に襲われた村人を救い、そこで暮らすことになる。
しかしナルクの後ろ盾である炎の女神ラニはこれを喜ばず、サングラールは捕えられ、妻のレネを始め、村人は虐殺されてしまう。
村長の娘アキと、通り掛かった弓の達人トワンに助けられたサングラールは、ラニとナルクに復讐を誓い、また死者を復活させる力を持つという賢者ルダックに、妻を蘇らせてもらうべく旅立った…。

『狂戦士サングラール』(1982)_e0033570_20371569.jpgコナン・ザ・グレート』のヒットにあやかって、雨後の筍の如く出現した二番煎じモノの一本ですな。
流石、イタリア映画。
幼い頃に両親や仲間が殺されちゃってるという出自も同じなら、旅の道連れが東洋系の弓矢使いと女戦士というのもソックリ。
奴隷にこそならないけど、その代わりに(?)案外弱くてしょっちゅう捕まっちゃう。
魔法使いは同道しないけど、賢者が途中で助けてくれる。
贅沢にも合唱付きのテーマ音楽が流れるところも踏襲してる(しかしちっとも盛り上がらない)けど、何もそこまでやらんでも。
あ、でも死んだ奥さんを蘇らせようと旅をする、というシチュエーションは、本家の続編『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』を先取りしたことになるのかな。

それにしても予算がないからか、ロクなクリーチャーも登場せず、出てくるのは殆どマスクを被っただけの怪人たちのみ。
何とも長閑な雰囲気が漂います。
最後には、”聖なる箱(アーク!)”から最強の武器が登場!
…といってもどうってことのないボウガンで、大して役に立ってないし、サングラールは明らかに邪魔そうにしてますね。
あ、一応女神ラニに止めをさすのはこのボウガンでしたっけ。

まあ全体的にだるいし、ぬるいアクション・シーンばっかですが、本家に比べるとお色気度はアップ。
女神ラニも、サングラールの奥さんレネも、ヒロインのアキも、それ以外の生贄たちもサービス・ショットが用意されています。
あ、サングラールは妻帯者ですが、ヒロインは別にいます。
最初にサングラールがアキに出会った時から、レネはアキに嫉妬めいた感情を露わにしてますが、レネが死んだ後で一緒に旅をしているうちに、サングラールはアキに惹かれるようになったんでしょうね。
ラストで二人は結ばれます。
メデタシメデタシ。

しかーしこの映画、サングラールは「出エジプト記」よろしく安住の地を求めて流離ってるだけだし、ラニとナルクは何をしたいのかがよくわかりません。
別にサングラールを目の敵にする必要はないんですがねぇ、過去に因縁があるわけでもなさそうだし。
因縁といえば、冒頭にナレーションでしか語られないクローター王というのが謎。
復讐を果たすのなら、コイツを倒さなきゃいけないんじゃないのかね、サングラールは。
というか、クローター=ナルクにしておけば、ストーリーがすっきりまとまるのになあ。

監督はマイケル・L・レミック、出演はピーター・マッコイ、イヴォンヌ・フラチェッティ、アントニー・フリーマン、ジオマリア・ロドリゲス、マルガリータ・ランゲ、アル・ファン、アレッサンドロ・パルテクサノ、マッシモ・ピタレッロ、ルー・カマンテ、サブリナ・シアニ…って、誰も知りませんね。
しかしこのビデオのパッケージ、酷いですな。
こんなイラストのキャラクターもシチュエーションも出て来ないのは兎も角、製作が1985年、監督がピノ・ブリッチになってる~。
ピノ・ブリッチってプロデューサーの一人なんだけどなぁ。

by odin2099 | 2010-05-17 20:40 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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