『罠』
2010年 05月 23日
夫のダニエルはカンタン警部に捜索を依頼しますが、その行方は杳として知れず、早10日。ダニエルは憔悴の日々を過ごしていました。
そんな折、マクシマン神父に付き添われ、エリザベートが戻ってきます。
しかし彼女を見たダニエルは、会ったこともない全くの別人だと言い張り、一方のエリザベートは、自分が家出したばっかりに夫は神経の発作を起こしたのだと自分を責めます。二人の意見は食い違い、マクシマン神父も、またダニエルに呼ばれてやってきたカンタン警部も困惑するばかり。
エリザベートが莫大な遺産を相続する可能性があることから、これは妻になりすまして財産を狙う、悪質な詐欺だ、「罠」なのだとダニエルは主張します。
しかし示された証拠は、彼女が本物のエリザベートであることを裏付けるものばかり。ダニエルはドンドンと不利な立場に追い込まれていきます。
そんな時、偶然二人の結婚式の立会人となった絵描きのメルルーシュと再会。彼はエリザベートと称する女性が別人であることに気付きますが、警部の前で証言する前に凶弾に倒れ、ダニエルはメルルーシュ殺害の嫌疑まで掛けられてしまうのです。
更に、二人を知るもう一人の人物である看護婦のベルトンは、あろうことか彼女が本物のエリザベートだと証言する始末。
追い詰められていくダニエル、果たしてエリザベートは一体どうなってしまったのか?
そして誰が正しく、誰が嘘をついているのか――?
天王洲銀河劇場にて鑑賞。
ロベール・トマの作品を、平田綾子が翻訳、深作健太が演出。
出演はダニエルに加藤和樹、エリザベートに辺見えみり、マクシマン神父に上山竜司、メルルーシュに松田賢二、ベルトンに初風緑、カンタン警部に岡田浩暉。
昨年2月に上演されたもののリニューアル版だそうで、主演の加藤和樹は続投。
日本でも何度も上演されている傑作サスペンス劇とのことで、海外では何度かTVドラマ化などもされているそうだが、ストーリーを全く知らなかったのでこの結末にはビックリ?!
なーるほどー、そう来るかあ、という感じ。
誰が誰に対して「罠」を仕掛けているのか、真実を言っているのが誰で、嘘吐きは誰なのか、ラストにはハッキリします。途中で「おおっ!」とか「もしかして・・・?」とは思ったものの、結局は見事に騙されちゃいましたね。
ヒッチコック監督も映画化を狙っていたという話ですが、腕に覚えのある演出家ならばチャレンジしたくなるのもわかるような気がします。
最初のうちは、辺見えみりってこんなにハスキーな声だったかなぁ、なんてことが気になりながら観てたんですが、段々と加藤和樹の大熱演に引き込まれていきました。
ずーっと高いテンションを維持していて、正直言ってこの人がこんなに芝居が出来る人だとは思ってなかったから尚更で、伊達に「平成仮面ライダー」出身者じゃないな、なんて思ったりして(ちなみに松田賢二も「平成ライダーズ」ですな)。
多少笑えるパートがあって場を和ませはするものの、殆ど2時間ノンストップの全力疾走。機会があれば是非もう一度観たいですねえ。