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『惑星大戦争』(1977)

世界各地で電波障害が起こり、UFOの目撃が多発していた。
そして宇宙ステーションが何者かの攻撃を受け破壊されてしまう。
地球侵略の危機を前に、一度は凍結された宇宙防衛艦轟天建造計画が再開された。
だがそれを知った侵略者たちは地球攻撃を本格化するのだが、無事に完成した轟天は敵の基地がある金星を目指し、一路宇宙の旅へ――!

『惑星大戦争』(1977)_e0033570_2395565.jpg昭和53年のお正月映画として公開された、東宝特撮映画の一篇(<百恵・友和映画>『霧の旗』の添え物だったが、こっちだけ観て映画館を後にしている)。
『海底軍艦』轟天号を宇宙へ飛ばせたい!
――というのが企画の発端だったそうだけど、そのあたりはちょいと眉唾な感じが。

先ず前年の昭和52年は、『宇宙戦艦ヤマト』がヒットした年。
アニメブーム、特にSFアニメ・ブームが巻き起こった年である。
そして海の向こうでは『スター・ウォーズ』が大ヒット。
一気にSFブームが到来した年でもあった。

その『スター・ウォーズ』は、日本では一年遅れの53年夏の公開が決まっていたから、その前に一山当ててやろうという魂胆が見え見え。
現に東映は、この後のゴールデン・ウイークに『宇宙からのメッセージ』をぶつけている。
しかし準備期間は殆ど取れず、実際に製作がスタートしたのは公開の2ヶ月前だったというから、一からオリジナルを立ち上げている余裕なんかなく、仕方なく轟天号という有りモノを持って来たんじゃなかろうか、という推測が成り立つ。
ま、あくまでも”推測”ではあるが。

『惑星大戦争』というタイトルは、そもそもは没になった『スター・ウォーズ』の邦題候補を流用したものだし、お話も何となく『宇宙戦艦ヤマト』っぽい。
特に石津嵐の小説版の方に。
乱暴に言っちゃえば、『宇宙戦艦ヤマト』+『スター・ウォーズ』÷……いくつぐらいかなぁ…?
とにかくオリジナリティはあんまりないし、都市破壊シーンなどは既存作品からの流用だし、時間もお金もないのが明らかで、子ども心にも観終わって「あ~あ」って思ったもんである。
そういえば実写版の『SPACE BATTLESHIP ヤマト』は、この作品より面白くなっているのかなあ?

でも、何度か観ていると段々と気に入ってくる。
津島利章のテーマ曲もなかなか高揚感があるし、森田健作、浅野ゆう子、沖雅也、池部良というキャスティングも悪くない。
ヒーロー然とした森田、そのライバルにして親友の沖、そして艦長の池部は適材適所。
ヒロインが巷間言われるほど魅力的だとは思えないが、嫌みのない正統派のヒロイン像だし(博士=艦長の娘、というのも定番の役どころ)、これに宮内洋や新克利、更には中山昭二、大滝秀治、平田明彦らが脇を固め、悪役は睦五郎というのもなかなかツボを押えた豪華な感じで、結構マニア向け。

宮内洋は準主役クラスで、アクション・シーンなどで活躍。
森田・沖との3ショットなど、かなり濃い存在感を示している。
ただこの人が出てくると――アクション担当がJAC(ジャパン・アクション・クラブ、現・JAE=ジャパン・アクション・エンタープライズ)なせいもあるのか――、東宝映画というより東映映画っぽく見えちゃうのが玉に瑕?

ちなみにこの作品の時代設定は、西暦1988年秋。
公開から概ね10年後の未来世界を狙ったのだろうけれど、今となってはどうしても古さを感じてしまう。
そういえば以前、たまたまビデオを借りてきてこの作品を観たのが丁度1988年の10月で、「あれ?これって今の話じゃん」と、その偶然にビックリしたことがあったっけ。
その時まで、この映画がどんなお話だったか、あんまり覚えてなかったもので…。
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Commented by モイラ2007 at 2010-05-28 20:13
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
TBさせていただきました。
「惑星大戦争」は日本では公開当初、ほとんど評価されませんでしたが、
旧西独であたったそうですね。
超タイトな予算とスケジュールのなか、よく作ったものだと思います。
Commented by odin2099 at 2010-05-28 23:06
いらっしゃいませ、有難うございました。

東宝特撮モノは海外でも人気ですねー。
ごくごく普通に、大らかに作品を楽しんでくれているのかも知れませんね。
それに対して日本だけは、コアなファンやディープなマニアじゃないと見向きもしないのかも・・・?

厳しい条件の中、頑張って作ったと思いますけど、今考えるともう少し轟天号そのものにキャラクター性があれば良かったなぁと感じますね。
by odin2099 | 2010-05-27 23:10 |  映画感想<ワ行> | Trackback(4) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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