『リンガーズ/ロード・オブ・ザ・ファンズ』(2005)
2010年 06月 23日
「リンガーズ」というのはJ.R.R.トールキンが生み出した『指輪物語』の熱心なファンというか、信者のこと。この映画では、そんな信者たちの生態を追っかけている。
ファン大会か何かの会場や、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の公開を待つ劇場前の行列で、信者たちが思い思いに語っている映像が主流で、勿論そこにはコスプレした面々も数多い。
洋の東西問わずヲタクなんて似たようなもんだが、この連中に共感出来るならこの映画も愛せるだろうし、「痛い」とか「キモイ」と思っちゃったなら、最後まで観られないかも。
トールキンの生涯を追いかけたり、「中つ国」を考察し、作品内に秘めたテーマを論じたり、といったアカデミックさはここにはない。
ただ、映画を観てバカ騒ぎする連中を捉えただけの映画ではなく、『指輪物語』を取り巻くムーブメントそのものにもアプローチはしている。
『ホビットの冒険』刊行当時の反響、そして『指輪物語』発表時のイギリス、そしてアメリカでの熱狂ぶり。映画のヒット以降しか知らないとかなり新鮮というか、驚きの連続。
ヒッピーに受け入れられ”聖典”と崇められたり、ロックと一体化して数々のヒット曲を生みだしたり・・・。個人的にはヒッピーともロックとも『指輪物語』は結びつかないんだけど、これは文化の土壌が違うからかなあ。ミスター・スポックことレナード・ニモイが「ビルボ・バギンズの歌」を歌ったり、ジョン・レノンが『指輪』の映画化を企画していたなんて話、俄かには信じられないもんね。
ランキン=バス・プロが製作した「ホビット」と「王の帰還」のアニメ版、ラルフ・バクシのアニメ映画などなどもサラっと流す一方、ピーター・ジャクソン監督の劇場版にはかなりの敬意を払っている。
監督は勿論のこと、イライジャ・ウッドやイアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、オーランド・ブルーム、ジョン・リス=デイヴィス、ショーン・アスティン、ビリー・ボイドらもインタビューに答え、クライヴ・バーカーやキャメロン・クロウなどにもインタビューしてるのには驚いた。
ちなみに映画のナレーターを務め、インタビューにも登場しているのはドミニク・モナハンだ。
日本語吹替版ではこれら映画版キャストを、浪川大輔や大塚芳忠、有川博ら実際に映画で吹き替えたメンバーがアテテいるという徹底ぶりが嬉しい。
ご紹介してくださって、ありがとうございます。
もっとも出てくる人物は、世間一般的には「真っ当」とは思って貰えない人たちでしょうね(苦笑)。
吹替キャストは良く揃えたなあ、という感じ。
サム、メリー、ピピン、デネソールなんかも・・・!
アンディ・サーキスには吹替がなく、また原作に関しても一家言を持つクリストファー・リーへのインタビューがないのはちょっと淋しいかな。