『聖闘士星矢/最終聖戦の戦士たち』(1989)
2010年 06月 24日
同時上映は『おそ松くん/スイカの星からこんにちはザンス!』、『ひみつのアッコちゃん』、そして『高速戦隊ターボレンジャー』。
堕天使ルシファーが魔界より復活。アテナとアテナの聖闘士たちによって倒されたエリス、アベル、ポセイドンを使って天変地異を起こし、人類を滅ぼして全世界を手中に収めようとしていた。これを防ごうとする沙織や星矢たちだったが、黄金聖闘士を一撃で倒すほどの実力を持つルシファー配下の聖魔天使の前に手も足も出ない。
そしてルシファーは、人類を救うためにはアテナ(沙織)に生贄になれと要求してくる・・・。
TVシリーズの放送終了を控え、劇場版1作目のエリス、3作目のアベルといった強敵を再登場させるなど、劇場版としても最終作を意識した作品。
ただもう一人は2作目のドルバルではなく、原作と違ってTV版では最後の敵となってしまったポセイドンなので、公開時にはまだ倒されていない彼が復活してくるという、少々ややこしいシチュエーションになってしまった。もっとも復活した彼らが直接星矢たちと絡むシーンはないので印象度は弱い。
そして今回の大ボスはルシファー、またの名をサタン。声は津嘉山正種。
『星矢』原作はギリシャ神話がベースだが、番外編となる劇場版では2作目で北欧神話を導入。これはTVの放送が原作に追いついた際のオリジナル・エピソードにも転用されたが、今度のモチーフは「聖書」である。聖魔天使の中にもアシタロテ、ベルゼバブといった名前が見られる。
後追い作品である『鎧伝サムライトルーパー』や『天空戦記シュラト』が作られたり、ジャンルはやや違うが『孔雀王』などがヒットしてる中ではネタ探しにも苦労したのだろう。インド神話、仏教、密教、儒教などが採用されることはなかった。
ただ「聖書」とギリシャ神話の融合はあまり上手く行っておらず、かつてルシファーの野望を封じ込めるためにアテナのみならず、大天使ミカエルや摩利支天が活躍した、というのはあまりにチャンポン過ぎる気が・・・。
また過去三作を凌ぐ大いなる敵のはずなのだが、作品全体ではあまりスケールが感じられないのも残念。シリーズの幕引きとしても今一つの印象があるが、それでも面白いことは確か。
瞬殺される黄金聖闘士は情けなさすぎるが(劇場では女子高生が悲鳴を上げていたっけ)、友の為に倒れる紫龍、マーマに想いを馳せる氷河、瞬のピンチに駆けつける一輝、クライマックスで黄金聖衣を纏う星矢等々、お約束のシーンも健在。