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『オリンポスの戦い』(2009)

舞台は紀元前のギリシャのようです。
婚礼の日に新妻ディミトリアス王女を何者かに毒殺されてしまった勇士クレイトスは、占い師から王女の魂が冥界タルタロスに囚われ、ハデスの花嫁にされそうになっていることを知り、妻を助けるべく仲間と共に冥界に旅立つ、というお話です。

ギリシャ神話にこのお話はないですが、冥界から死んだ妻を取り戻そうというのは、オルフェウスのエピソードが元でしょうかね。
日本神話でいえばイザナギとイザナミに似たようなお話がありますが、どちらも失敗するという共通点があります。この映画では如何に…?

『オリンポスの戦い』(2009)_e0033570_19344640.jpgさてまずこの邦題なんですが、これは『タイタンの戦い』のもじりでしょうかね。
オリンポスなんか出てきませんが、それとも『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』も入っているのかな。
何れにせよ捻ったような、全然捻ってないようなタイトルですが、原題はどうやら”HELLHOUNDS”というようで、クライマックスではこのヘルハウンド(地獄の犬)たちとの戦いが待ってます。
しょぼいけど。

冥界に行くためには三途の川を渡らなきゃいけないワケですが、渋る渡し守のカロンさんには水を一口飲ませてあげて交渉成立。
帰りも「船には乗せられない」と突っぱねられるんですが、「自分たちで行く」というクレイトスたちを黙って出航させてしまいます。
見かけは怖いけど、結構いい人です、カロンさん。

で着いた先は迷宮というか、まるで遊園地のお化け屋敷の如き迷路。
ここをクレイトス御一行様と王女様はグルグル回って追いかけっこをするだけなんですが、案外あっけなく助け出してしまいます。
さてヤレヤレと思ってると、一行の中に裏切り者が。
コイツが実は王女様毒殺犯なのですが、人相悪いし行動が不審だし最初からバレバレ。
そしてこれまたあっけなく退場…かと思いきや、後半ではハデスの僕となって復活。
とはいっても最後までヘタレのまんま。
でもイライラはしません。
むしろ微笑ましいくらい。
ゆる~い映画ですから。

まあ最大の問題点は、純潔の乙女のはずの王女様が、思いの外”老け顔”で、ちっとも魅力的に見えないことでしょうな。
誰だよ、キャスティング・ディレクターは。
冒頭に、敵国に襲われた村人をクレイトスが助けるという「最初の見せ場」があって、そこで生き残る村娘の方が数倍可愛いのが困りもの。
彼女をヒロインに据えりゃ良かったのに。
ちなみにこの娘、出番はこれだけかなと懐かしくも残念に思った頃に、ちゃっかり再会してパーティーの一員となってクレイトスと(というよりクレイトスの弟と恋仲になって)行動を共にするのですが……。
結局パーティーは弟を残して全滅。
一体王女様一人を助けだすために、何人犠牲になれば良いんでしょうね。
まことに不条理なもんです。
友人や部下や弟の恋人も助けに行ってやれよ、クレイトス。

RHIというのは元ホールマークだったところなので、これはおそらくTVムービー。
そのせいか途中でブツブツ切れます。
知らない役者さんばっかりだし、登場人物は少ないし、クリーチャーはろくに出て来ないし、スケール感のかけらもない作品で、CG全盛のこの御時勢に、マットペインティングと呼ぶのもおこがましい書割の如き背景が出てきたのには驚きましたが、それっぽいロケ地で撮影してますので雰囲気はまあまあかな。
90分足らずの作品なので、これぐらいなら腹も立たずに見終えることが出来るんじゃないかなと思います。

監督のリッキー(リック)・シュローダーって誰?と思ったら、『チャンプ』や『リトル・プリンス』などで有名な元子役スターだった…!
最近は『24』などでも活躍し、役者だけじゃなく監督としても活躍してるんだね。
Tracked from La.La.La at 2010-06-29 21:24
タイトル : 『オリンポスの戦い』
JUGEMテーマ:映画 制作年:2009年  制作国:カナダ  上映メディア:TVM  上映時間:88分  原題:HELLHOUNDS  配給:ニューセレクト  監督:リッキー・シュローダー  主演:スコット・エルロッド      アダム・ブッチャー      アマンダ・ブルックス      ジェイムズ・A・ウッズ 紀元前のギリシアを舞台に、王女を救うべく魔王に立ち向かう勇者の姿を描いた神 話アドベンチャー。婚礼の日に何者かにより王女を毒殺されてしまった勇士・クレ イトス。王...... more
by odin2099 | 2010-06-26 19:40 |  映画感想<ア行> | Trackback(1) | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
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