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『クラバート/闇の魔法学校』(2008)

DVDの発売予定をチェックしていた時にタイトルを発見し、「アレレ?」と思って確認してからすぐ予約。
ところが入荷が遅れ、配送も遅れ(HMV、しっかりしてよ)、やっと届いて鑑賞と相成りました。

『クラバート/闇の魔法学校』(2008)_e0033570_6373489.jpg勿論オトフリート・プロイスラーの小説『クラバート』の映画化作品で、以前カレル・ゼマンが作ったアニメーション映画版もあるからリメイクということに。
製作中からずーっと気になっていて、途中で予告編を紹介する記事をエントリーしたこともあったのだけれども、そのまんま音沙汰なし(2008年のドイツ映画祭で特別上映されたことがあったそうだけど)。
もうダメかなーと諦めかけていたところでのリリースは嬉しい限り。

もっとも”ドイツ版『ハリー・ポッター』”、なーんて紹介している記事があったのには正直脱力。それじゃまるで紛い物みたいじゃん。こっちの方がずっと歴史があるのに。
それに「闇の魔法学校」というサブタイトルも、作品の雰囲気からは大きく逸脱しているようで納得いかないんだけれど、まあリリースしてくれただけでも良しとしますか。

原作では3年間のお話になっているものを2年間に短縮し、エピソードもギューっと凝縮。ついでにキャラクターも絞り込んでいるので「誰それ?」な人もいますが、刈り込み具合、アレンジの手際は見事で、あれがないこれもないといった原作ファンからの不満の声も少ないのではないかと思われます。

役者陣が美男美女揃いというわけではないのもリアルな感じだし、ロケ地も綺麗で作品全体を包む寒々とした雰囲気も良く出てます。
これで劇場未公開は実に勿体ないなあ。

『ロード・オブ・ザ・リング』、『ナルニア国物語』、『ハリー・ポッター』に続くファンタジー・アドベンチャー超大作、という紹介文句もあり、こういう時は「嘘つけ」と言いたくなるような作品の場合が殆どだけど、この作品に関しては違いますねー。
これは文句なし、Aクラスのムービー。
配給の20世紀フォックスも、もうちょっと考えて欲しかったもんですな。

ただ、原作の認知度が低いだろう、出演者に馴染みが薄いだろう、と考えて劇場公開を見送る判断を下したのもわかる話で、上映されてもおそらく大ヒットには繋がらなかっただろうとは思います。
それはそれで悔しいんだけれども・・・。

出演はクラバートにデヴィッド・クロス、職人頭のトンダにダニエル・ブリュール、村娘カントーカにパウラ・カレンベルク、捻くれ者リシュコーにローベルト・シュタートローバー、そして親方にクリスチャン・レドル。
監督はマルコ・クロイツパイントナーで、脚本はミハエル・ガットマンとの共同。
ハリウッド製のファンタジー映画には食傷気味なファンにはお勧めの一本。
Tracked from 古びた森小屋 at 2010-07-15 12:36
タイトル : 『クラバート 闇の魔法学校』 (DVD)
オトフリート・プロイスラーの『クラバート』の実写版。 ハリウッドとかじゃなくて、本場ドイツで作られました。しかし、日本では上映されず;; ようやくDVDになりまして、観る事ができました! 原作の薄暗さや、親方の薄気味悪さ、怖さ、そして漂う死の匂いまで完璧に再現されていて私、大満足です!!... more
Tracked from いやいやえん at 2010-08-06 11:09
タイトル : クラバート 闇の魔法学校
「大どろぼうホッツェンプロッツ」シリーズ(好き♪)や「小さい魔女」のオトフリート=プロイスラー著作の映像化作品ですね。なんか聞いたことあるよな〜と思ったら、だいぶ以前児童書サイトを運営していたときに原作を読んでいました。 原作はこれ。(→)内容の細かい部分は残念ながら忘れてしまってますが、表紙が印象強かったので下記のように思い出しました。ですが新しい気持ちで原作と比較することなくみれたと思います。 …夢の中のカラスの声に従い、水車場の見習いとなるクラバート、その水車場の親方は魔法使いでありクラ...... more
Tracked from RE940の自作DVDラベル at 2011-10-01 21:05
タイトル : クラバート 闇の魔法学校
2008年 ドイツ 121分 監督:マルコ・クロイツパイントナー 出演:デヴィッド・クロス ダニエル・ブリュール クリスチャン・レドル ロバート・スタッドローバー パウラ・カレンベルク 中欧に伝わる伝説をもとにドイツの児童文学者O・プロイスラーが書いた名作を、壮大なスケールで映画化。プロイスラーの原作は、かつてチェコ・アニメの巨匠カレル・ゼマン監督も映画化したことがあり、また、あの宮崎駿監督が「千と千尋の神隠し」を作るにあたって参考にしたことでも有名。「ロ...... more
Commented by 小夏 at 2010-07-16 11:57 x
まず、このポスターを見て鑑賞欲をそそられるか?と問われれば、ちと疑問。
↑と感じた人がけっこういると思いますよ。(^^;

作品の中身が良いなら尚のこと、まずは目に見える部分を魅力的に見せる努力をしないとハリウッド映画に慣れ親しんだ観客の目を向けさせることは難しいかと。
そんな理由で良作が埋もれてしまうのはもったいないですものね。

ということで、私も機会があれば見てみたいです。「ドイツ映画」というのにもちょっと惹かれますね。
Commented by odin2099 at 2010-07-16 22:32
>小夏さん

パッケージ・アートは大事ですねー。
それを変えただけで売れ行きが上がることだってあるし。
このデザインだとちょっと保守的すぎるかも。
もっと独自色を打ち出した方が、他の作品との差別化にも繋がるんだけどね。

ちなみにこの作品、個人的にはそれほどでも、って感じだけど、あちらでは大人気のイケメン君が何人か出ているので、メガヒット作という扱いなんだよね。
小夏さん好みかどうかはわかんないけど・・・(苦笑)。
by odin2099 | 2010-07-12 06:38 |  映画感想<カ行> | Trackback(3) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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