『暴走特急』(1995)
2010年 07月 23日
首謀者は狂気の天才科学者。その狂気ゆえに職場を追われた彼は、かつて開発に携わっていたCIAの衛星兵器をコントロールし米政府に大金を要求。そのターゲットはペンタゴンと、その地下に眠る原子炉。人質となった乗客の生命だけでなく、核を切り札にしたテロリストへの対応に苦慮する政府首脳。
しかし、この列車には「あの男」も乗り込んでいた――!
というワケでスティーブン・セーガル祭り(?)の3本目は、ズバリ『沈黙シリーズ第3弾 暴走特急』。
『沈黙の戦艦』の正式な続編なのに、間に作られた無関係な作品に『沈黙の要塞』を名乗らせて勝手にシリーズ化しちゃったから、今回の邦題はかなり苦しい。タイトルに直接「沈黙」の文字を入れられなかったから、こんな長ったらしい邦題になってしまったというワケ。
あ、今回もTVオンエアー版での鑑賞です。やっぱりセーガルの声は明夫さんだよなあ。
続編ということで、お話はケイシー・ライバックありき。
テロリストが乗っ取った列車にたまたまライバックが乗り合わせるなんて、そんな偶然あるワケねーよ!とツッコんでも仕方ありません。ま、どちらにとってもお気の毒なことですが。
で、今回の悪役は元CIAのハイテクおたく。
前作ではもう一人のライバックと呼べるようなプロや、権力志向で厭味な軍人が相手だったのに比べると、目先は変わっているし、やってることは凄いんだけど、如何にも小粒。しかもライバックが乗ってると知ったテロリストの連中が、「オレの教官だった男だ」「最高の男だ」と浮き足だってしまう始末。この時点で勝負は見えた?
ちなみに同時期公開となった<007シリーズ>の『ゴールデンアイ』も、衛星を使った超兵器をテロリストがジャックするという展開だったし、あっちにも悪側に寝返ったハイテクおたくがいたっけ。
偶然だろうけれど、あちらを先に観たので余計新鮮味が感じられなかったのは残念。
ということで、ストーリー、シナリオ、キャラクター造形どれをとっても前作の方が上なのだけれども、完全に勝っていたのは、ゲイリー・チャンに代わって登板したベイジル・ポールドゥーリスの音楽。
『コナン・ザ・グレート』や『ロボコップ』の音楽のファンだったセーガルが『沈黙の要塞』に続いて起用したのだけれども、これは大当たり。
大人しめだった『~要塞』と違い、こちらでは骨太なポールドゥーリス・サウンドがジャカジャカ流れるので大満足である。
ところでこの作品、ライバックが強烈なだけに他のキャラが霞んでしまう傾向があるものの、実はシリーズらしく前作からスライドしている人物もいたりする。
一人はCIAのトム・ブレーカー。
前回も今回も自分の元部下が悪のボスなんだから、本来なら徹底的に糾弾される立場にあるのに、のらりくらりとかわしまくる。また前作では「失敗したらライバックに責任を擦り付ければいい」とか言ってたし、今回もペンタゴンが狙われていると知って、こっそり家族だけ逃がそうとするイヤな奴ぶりをいかんなく発揮。シリーズが続く限り彼は自分の不祥事を他人に押し付け、保身を図るんだろうね。最後には『ダイ・ハード』のしつこいレポーターみたいに、ライバックに張り倒されて欲しいもんである。
もう一人はベイツ提督で、今回はライバックのことを知ってるから、彼が乗ってるなら大丈夫とかいう無責任発言もしてしまう。危機管理能力はどうなってんのやら。
てなワケで改めて観直してみると、このシリーズ、やっぱり面白い。
”沈黙シリーズ”を量産するくらいなら、正式なこっちの続編を作って欲しいもんである。
何年か前、いよいよ3作目が準備に入ったというニュースが流れたことがあったけど、あれはガセだったのか、それともポシャったのかなあ?
監督 ジョフ・マーフィ 主演 スティーヴン・セガール 1995年 アメリカ映画 99分 アクション 採点★★★ 『沈黙の戦艦』以降、出演映画タイトルのほとんどが“沈黙の~”か漢字二文字のセガール。そろそろその二つを併せた“沈黙の電撃”とか出るんじゃないでしょうか?まぁ..... more