人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『クジラの彼』 有川浩

「クジラの彼」、「ロールアウト」、「国防レンアイ」、「有能な彼女」、「脱柵エレジー」、「ファイターパイロットの君」、6編の恋愛小説を集めた短編集。

『クジラの彼』 有川浩_e0033570_22324624.jpg表題作「クジラの彼」は、潜水艦乗りを彼氏に持ったOLの奮闘記(?)。
彼氏とはなかなか連絡付かないわ、厭味な上司に言い寄られるわ、とかなり苦労続きの恋愛模様。
その彼氏というのが冬原クンで、つまりこれは『海の底』の外伝。
冬原クンの、本編では描かれなかった側面や、結婚相手との馴れ初めが語られるという点でも、本編読み終わったら一読すべき一篇だ。

「有能な彼女」も『海の底』の外伝、というか後日談。あれから夏木クンと望ちゃんがどうなったか?――のドタバタ劇。
美人で仕事もバリバリに出来る望ちゃんに、引け目を感じてる夏木クンが可愛い。

また「ファイターパイロットの君」は、今度は『空の中』の「その後」。
高巳クンと光稀ちゃんカップルのやりとりが、如何にもそれっぽくて嬉しくなる。
こちらはゴールインした後で娘が生まれ、パイロットとして妻として母として、様々な葛藤を抱える光稀と、それを支え大きく包み込む高巳の、男女の恋愛だけでない家族愛も描かれていて、やはりキャラクターの幅が広がって感じられる。

他の3作品も全て主人公は自衛官で、「ロールアウト」はメーカーに務める航空機の設計士の女性と、航空機搭乗員とのラブストーリー、「国防レンアイ」は陸自の同期の男女の付かず離れずの友情、そして恋愛ドラマが描かれ、「脱柵エレジー」ではちょっと大人の”良い”関係・・・

・・・という具合に、これは世にも珍しい、自衛官を主人公にした恋愛小説集なのでありました。

しかもどれもこれもが、読んでいて気恥ずかしくなるようなベタ甘な展開ばかり。
でもどれもこれも単なるラブコメじゃなく、自衛隊という一般人にはなかなかわかり難い組織の内実(?)を平易に語ってくれたりで、トリビア興味でも引っ張って行ってくれる。
『空の中』や『海の底』を読んだ人は勿論、そうでない人も一度は手に取って損はないんじゃなかろうか。
by odin2099 | 2010-07-26 22:29 | | Trackback(12) | Comments(0)

悪文礼賛


by Excalibur(エクスカリバー)
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31