『ファンタジア』(1940)
2010年 08月 06日
様々なクラシック音楽から、音楽的解釈や歴史的背景などに囚われることなく、自由にイマジネーションの翼を広げて作られたものだが、長編と言うより連作短編集、オムニバス映画と呼んだ方が良いんじゃないかと思われる映画である。

指揮はレオポルド・ストコフスキー、演奏はフィラデルフィア管弦楽団で、作品と作品(曲と曲)の合間には、殆どシルエットながらストコフスキーや楽団員も画面に登場し、さながらコンサートのライヴ映像の如し。まぁ贅沢っちゃあ贅沢なもんである。
この中では、ミッキーマウスが主演を務める「魔法使いの弟子」(ディズニーは当初、この作品のみを製作するつもりだったとか)と、地球創世から生命の誕生、進化の過程を描く「春の祭典」(当時としては科学的な考証が施された、かなりリアルな恐竜さんが闊歩する)あたりが人気作のようだが、個人的に気に入ってるのはラストの曲。
実はこれ、「禿山の一夜」と「アヴェ・マリア」をメドレーで一曲とし、邪悪なるものと聖なるものの対決を描いているのだ(という解釈が、少なくても一般的)。この二曲を一つにまとめちゃおうという発想が素晴らしいと思う。
反面、抽象的な作品も多く、よっぽどのクラシック好き、ディズニー好き、アニメ好きでなければ、何度か睡魔に襲われること可能性大。
実際のコンサートならば途中で休憩も入るだろうが、ノンストップで約2時間。曲間には解説のナレーションが入るものの、台詞も効果音も一切なし。ひたすら音楽と映像だけで見せていくわけで、鑑賞する側にもそれなりの覚悟が必要だ。20年ぶりくらいに観直してみたけれど、こんなにだるかったっけ?
なお、DVDには特典映像扱いでドビュッシーの「月の光」を収録。
上映時間が長すぎたためにカットされたエピソードで、後に独立した作品として再編集・再構成されているそうだが、それを『ファンタジア』の一本として復元したものだとか。
もしこれを加えてしまうと、単純計算でトータル130分ほど。これは流石に辛いな。