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『ファンタジア』(1940)

ウォルト・ディズニーの「最高傑作」の呼び声も高いらしい長編アニメで、今から70年前(!)の作品。
様々なクラシック音楽から、音楽的解釈や歴史的背景などに囚われることなく、自由にイマジネーションの翼を広げて作られたものだが、長編と言うより連作短編集、オムニバス映画と呼んだ方が良いんじゃないかと思われる映画である。

『ファンタジア』(1940)_e0033570_2342590.jpg題材となっているのは順に、バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」、チャイコフスキー組曲「くるみ割り人形」、デュカの「魔法使いの弟子」、ストラヴィンスキー「春の祭典」、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」、ポンキエルリの「時の踊り」、そしてムソルグスキー「禿山の一夜」にシューベルト「アヴェ・マリア」の全8曲。
指揮はレオポルド・ストコフスキー、演奏はフィラデルフィア管弦楽団で、作品と作品(曲と曲)の合間には、殆どシルエットながらストコフスキーや楽団員も画面に登場し、さながらコンサートのライヴ映像の如し。まぁ贅沢っちゃあ贅沢なもんである。

この中では、ミッキーマウスが主演を務める「魔法使いの弟子」(ディズニーは当初、この作品のみを製作するつもりだったとか)と、地球創世から生命の誕生、進化の過程を描く「春の祭典」(当時としては科学的な考証が施された、かなりリアルな恐竜さんが闊歩する)あたりが人気作のようだが、個人的に気に入ってるのはラストの曲。
実はこれ、「禿山の一夜」と「アヴェ・マリア」をメドレーで一曲とし、邪悪なるものと聖なるものの対決を描いているのだ(という解釈が、少なくても一般的)。この二曲を一つにまとめちゃおうという発想が素晴らしいと思う。

反面、抽象的な作品も多く、よっぽどのクラシック好き、ディズニー好き、アニメ好きでなければ、何度か睡魔に襲われること可能性大。
実際のコンサートならば途中で休憩も入るだろうが、ノンストップで約2時間。曲間には解説のナレーションが入るものの、台詞も効果音も一切なし。ひたすら音楽と映像だけで見せていくわけで、鑑賞する側にもそれなりの覚悟が必要だ。20年ぶりくらいに観直してみたけれど、こんなにだるかったっけ?

なお、DVDには特典映像扱いでドビュッシーの「月の光」を収録。
上映時間が長すぎたためにカットされたエピソードで、後に独立した作品として再編集・再構成されているそうだが、それを『ファンタジア』の一本として復元したものだとか。
もしこれを加えてしまうと、単純計算でトータル130分ほど。これは流石に辛いな。
Commented by 久保田 at 2010-08-07 17:23 x
これは、だるかったです。
20年ほど前にレンタルして鑑賞しましたが、やはり途中で睡魔に襲われて眠ってしまいました…。
Commented by odin2099 at 2010-08-07 22:05
>相方さん

眠れない夜には最適の一本かも知れませんな(苦笑)。
一曲目の「トッカータとフーガ」か、二曲めの「くるみ割り人形」で寝られるんじゃないかな。

パート2にあたる『ファンタジア2000』の方が、もうちょっと起伏に富んでいて楽しめたような記憶が・・・。
by odin2099 | 2010-08-06 23:03 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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