『悪魔のような女』(1955)
2010年 09月 18日
しかし乱暴で利己的な彼に二人の女は我慢の限界に達し、遂に妻と愛人は共謀して夫を殺害、その死体を学校のプールに沈める。
だが数日経っても死体は上がらず、プールの水を抜いてみたものの影も形もない。しかも殺されていた時に着ていたスーツがクリーニング屋から届いたり、学校の集合写真に彼らしき姿が映るなど不可解な出来事が次々と起こり始める。
そこへ私立探偵のシャルル・ヴァネルが協力を申し出て・・・・・・。
ピエール・ポワローとトーマス・ナルスジャックの二人が共作した小説を、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが監督したフランス映画。アルフレッド・ヒッチコックも映画化を狙っていたが、クルーゾーに先を越されて悔しがったとか。
脚本もクルーゾーがジェローム・ジェロミニと共同で手掛け、ミステリー・サスペンス映画の傑作というと必ず名前の挙がる作品で、後にシャロン・ストーンとイザベル・アジャーニ、キャシー・ベイツの競演でリメイクされた。
リメイク版も観ているし、そちらが公開される前にこのオリジナル版も観ているので、今回は勿論オチを知って観直していたのだけれども、それでも唸らされる。
今となっては、そのカラクリはやや古ぼけてしまったというか手垢が付きすぎた感が無きにしもあらずだし、ホラー描写も今日の眼で見れば穏やかに見えてしまうけれども、当時としてはかなりセンセーショナルだったろうというのは想像に難くない。
実際、ラスト近くのショッキングなシーンでは、悲鳴を上げる人失神する人が続出したという話である。
二転三転のどんでん返し、これで終わりかと思っていると最後の最後に止めの一撃と、逆に今の方が直接的にではなく、観終わった後からじわじわ来る恐怖感があるように思う。
『悪魔のような女』 1954年(仏)監督アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 恐怖、サスペンス、スリル、そんなエンターテイメントとしての要素を二時間という枠の中、巧みな演出で余すところなく感じさせてしまうからもう本作をただの娯楽として位置付けたくはない。 序盤から何かが恐ろしい。校長の内向的な妻と都会的で気の強い彼の愛人とが何やらコソコソしている。二人の女が何を考えているのか、何を話していたのか、観る者はまるで作中に登場する子供たちのように彼女らの行動に疑問を抱きながらもごく普通の光景として受け...... more
アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの「悪魔のような女」。 人を非日常の世界に導くのがエンタテインメントとすれば、ここで描かれた世界はまさにそれ。 殺したはずの夫の死体がなくなってしまうのだ。 夫を殺害した方法が睡眠薬で眠らせての溺死。水を満たした風呂に沈めた。 共犯者ニコルは「心臓も止まっていたし確かに死んでいた」と言う。 まさに現実の理屈では考えられない世界。 この非日常はさらに続く。 夫の着ていたスーツがクリーニングされて配達されてくる。 主人公クリスティーナは夫が泊まっているとい...... more
二転三転、最後に止めの一撃・・・これは凄そう!「検察側の証人」のような驚きがありそうで楽しみです。観たら(といってもすぐではないかもですが)、こちらにまた感想を書きにまいりますね~!