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『華麗なるアリバイ』(2008)

週末、上院議員であるアンリとエリアーヌのパジェス夫妻の大邸宅に招かれたのは、夫妻の姪クロエ、遠縁にあたるマルト、同じく親戚の作家フィリップ、彫刻家のエステル、精神科医のピエールとその妻クレール、そしてイタリア人の女優レア。
だが翌日、事件は起こった。
一発の銃声と共にピエールが殺され、傍らには銃を手にしたクレールの姿が…。
しかし犯行に使われたのは別の銃であることが判明、クレールは釈放される。
マルトはフィリップを愛していたが、フィリップはエステルに想いを寄せ、そのエステルはピエールの愛人だった。
レアは元の恋人であり、更にエリアーヌもかつて愛人だったという複雑な男女関係。
果たしてピエールを殺したのは一体誰なのか…?

『華麗なるアリバイ』(2008)_e0033570_1921938.jpgここのところ『アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』『ゼロ時間の謎』とフランスを舞台にしたクリスティー作品の映画化が続いているが、これもそのうちの一本。
原作は『ホロー荘の殺人』でポワロ物の一冊だが、後にクリスティー自らポワロの出番を削除した戯曲を執筆、本作でもポワロ、もしくは彼に相当する探偵役は登場しない。

それにしても些か乱暴な映画化というか、随分と雰囲気が変わってしまったもの。
戯曲版は読んでいないのでどの程度原作に忠実なのかは知らないが、少なくても小説版よりはキャラクターが通俗的というか薄っぺらいものになってしまっている。
勿論1時間半で作品をまとめようとしていること自体、かなり無謀な試みだとは言えるのだが。

小説にはない第二の殺人、ミスリードを誘うかなり無理のある設定、そしてクライマックスのアクション(?)シーンなどなど最早別物。
何故犯人を庇う人が出てくるのか、記憶障害は本当なのか、病院にいる老患者の存在に何の意味があるのか、映画を観ているだけではさっぱりわからない。
それに「豪華キャストで完全映画化」が謳い文句のようだが、フランス人俳優に疎いこともあって、誰一人魅力的には思えなかった。

出演はミュウ=ミュウ、ランベール・ウィルソン、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、ピエール・アルディティ、アンヌ・コンシニ、マチュー・ドゥミ、カテリーナ・ムリーノ、モーリス・ベニシュー、セリーヌ・サレット、エマニュエル・リヴァ、アガット・ボニゼール、ダニー・ブリヤン。
脚本はパスカル・ボニゼールとジェローム・ボジュールの共同で、監督はボニゼール。

なお『奥さまは名探偵』と『ゼロ時間の謎』を撮ったパスカル・トマ監督は、既に同じカトリーヌ・フロとアンドレ・デュソリエを主演に『奥さまは名探偵』の続編を完成させているとのこと。
フランス版クリスティー映画のブームは、まだ当分続くのだろうか。
Tracked from ハピネス道 at 2010-09-20 21:12
タイトル : アガサ・クリスティ 「華麗なるアリバイ」
JUGEMテーマ:映画  今年はアガサ・クリスティ生誕120年にあたる年とのことで、つい先月まで東京国際フォーラムでも「アガサ・クリスティ展」が行われていたり、いろんなところで名前を目にする機会がありました。「ミステリの女王」と言われるアガサですが、この「華麗なるアリバイ」の原作「ホロー荘の殺人」はミステリだけでなく、9人の登場人物の人間模様や愛憎劇としての要素が色濃く、謎解きよりもむしろ、ドラマに対する評価が高い作品だそうです。原作「ホロー荘の殺人」にはポアロが登場するそうで...... more
Tracked from 日っ歩~美味しいもの、映.. at 2010-09-20 23:02
タイトル : 華麗なるアリバイ
アガサ・クリスティの推理小説「ホロー荘の殺人」をクリスティ自身がリライトした戯曲を映画化した作品。原作は未読です。 毎週末、大邸宅に友人たちを招く上院議員夫妻。ある週末、精神分析医のピエールも妻のクレールとともに招待されていました。その時は、他に、ピエールの... more
Tracked from ルナのシネマ缶 at 2010-09-21 01:06
タイトル : 華麗なるアリバイ
アガサ・クリスティ原作の 「ホロー荘の殺人」を、 ポワロぬきで、フランスの 現代版にした作品です。 ミステリーというより 男女の愛憎劇といった感じでしょうか。 ムードはありますが 作品としての盛り上がりは ありませんでした。 上院議員のアンリ(ピエール・アルディティ)と その妻(ミュウ=ミュウ)は、週末には田舎にある屋敷に 客たちを招いてもてなしていた。 ある週末、精神分析医のピエール(ランベール・ウィルソン)と その妻(アンヌ・コンシニ)が招待されてやって来る。 だが...... more
Tracked from 〜青いそよ風が吹く街角〜 at 2010-09-21 04:10
タイトル : 『華麗なるアリバイ』... ※ネタバレ含
2007年:フランス映画、パスカル・ボニゼール監督、アガサ・クリスティー原作(『ホロー荘の殺人』)、ミュウ=ミュウ、ランベール・ウィルソン、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ出演。... more
Tracked from NiceOne!! at 2010-09-21 06:08
タイトル : 『華麗なるアリバイ』(2007)/フランス
原題:LEGRANDALIBI監督:パスカル・ボニゼール原作:アガサ・クリスティー出演:ミュウ=ミュウ、ランベール・ウィルソン、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ鑑賞劇場 : ル・シネマ公...... more
Tracked from 映画的・絵画的・音楽的 at 2010-09-22 05:02
タイトル : 華麗なるアリバイ
 あるフランス映画を見ようと思って出かけたところが、狙った時間帯には上映されていないことがわかり、それなら別のフランス映画を見ようということになって、『華麗なるアリバイ』を渋谷のル・シネマで見てきました。 (1)邦題を見て、この映画はいわゆる“アリバイ崩し”物かもしれないと思い、それも「華麗なる(grand)」というわけですから、ポアロ探偵も酷くてこずるのではと大層期待させます(アガサ・クリスティの原作によっていることが前もってわかりましたから)。  ですが、実はそんなことは全然ありません。まず、...... more
Tracked from 気ままに映画メモ at 2010-09-23 23:57
タイトル : ★「華麗なるアリバイ」メモ
“ミステリーの女王”アガサ・クリスティ生誕120年記念という謳い文句で,ミニシアターで公開されていた作品「華麗なるアリバイ」を鑑賞しました.しかし,他に彼女の生誕120年に関連するイベントは聞きませんから,配給会社が考え出した苦肉の宣伝なのでしょうね.ちなみに本作品はフランス映画で,今から2年ほど前に製作された作品です.... more
Tracked from パピ子と一緒にケ・セ・ラ.. at 2010-09-27 22:29
タイトル : 華麗なるアリバイ
今年は、アガサ・クリスティ生誕120年。ミステリーの女王といわれるクリスティの名著「ホロー荘の殺人」が原作を映画化。物語は男女9人が集まったパーティーで、容疑者全員にアリバイがある殺人事件が発生する。「美しき諍い女」、「ランジェ公爵夫人」などジャック・リヴェ...... more
Tracked from CINECHANの映画感想 at 2010-09-28 00:38
タイトル : 10-218「華麗なるアリバイ」(フランス)
哀れな女は誰!?  フランスの小さな村、ヴェトゥイユの大邸宅。その週末、上院議員のアンリ・パジェスと妻のエリアーヌは、親しい友人7人を招いてパーティを開催する。  しかし、ゲストの一人である精神分析医ピエールの存在が空気を張り詰めたものにしてしまう。この10年間、誰とでも浮気していた彼は、今回招待された女性たちとも過去や現在において不適切な関係を持っていたのだ。  そんな中、昼下がりの屋敷に突然銃声が響き渡る。駆けつけたエリアーヌは、銃弾に倒れたピエールの姿と、夫の傍らで銃を手にして...... more
Tracked from 日々のつぶやき at 2010-09-28 12:06
タイトル : 【華麗なるアリバイ】
監督:パスカル・ボニゼール 出演:ミュウ=ミュウ、ランベール・ウィルソン、モーリス・ベニシュー  誰にも解けない、愛の謎 「フランスの田舎にある上院議員の豪邸に招かれたゲストたち。 その中の精神分析医のピエールは妻クレールと二人の子供がいながら常に... more
Tracked from 三毛猫《sannkene.. at 2010-09-30 21:41
タイトル : 「華麗なるアリバイ」(フランス 2008年)
プールサイドに響く一発の銃声と女の悲鳴。... more
Tracked from 迷宮映画館 at 2010-10-26 10:26
タイトル : 華麗なるアリバイ
豪華なメンバーの軽い一本・・・かな。... more
Tracked from ダイターンクラッシュ!! at 2011-01-09 23:52
タイトル : 華麗なるアリバイ
2011年1月8日(土) 19:35~ キネカ大森1 料金:0円(二本立ての二本目) パンフレット:未確認 アガサ・クリスティー 華麗なるアリバイ [DVD]出版社/メーカー: アルバトロスメディア: DVD 『華麗なるアリバイ』公式サイト アガサ・クリスティのポアロものが原作だそうだが、ポアロは出てこない。 何故かモテモテの精神科医の教授を巡る、中年の痴情もの。 アリバイを崩す謎解きがある訳でなく、自らゲロっている。 安っぽいサスペンス・ドラマののり。 お勧め度:☆☆ 華麗度:★ 俺...... more
Commented by ゆるり at 2010-09-20 21:01 x
おおっ、なかなか手厳しいレビューですね。(笑)

元々、謎解きの面白さはない作品だと思いますが、
女優陣の演技合戦は見ていて楽しかったデス。

クリスティ原作のフレンチミステリーって、
CSなんかで放送されてるドラマでも
原作とかけ離れた(犯人が違ったり)モノが
結構多いんです。
コメディ+ラブロマンス仕立てにするというパターンもよくあって。

いかにもオフランスらしい男女の会話や、ネチネチした人間関係なんかが嫌いな人には楽しめない映画かもしれませんね~。

加えて、フランス映画好き、フランス俳優好きな方が楽しめるのは言うまでもありません。
でも、『奥さまは名探偵』よりは面白くありませんでしたか?(←シツコイ!)
Commented by odin2099 at 2010-09-20 21:39
元々、期待度が高かったもので・・・(苦笑)。
でも公開後の評判があんまり良くないので、観るのは断念しようと思っていたんですがね。
やっぱり気になるので行って来ちゃいました。

キャラクターが変えられているから致し方ないんですが、どうも原作を読んで浮かんだイメージとは違う人が多かったのが一番の原因かなあ。
それに登場人物がやたら喫煙するのにもうんざり・・・。
まあこのあたりは好みの問題ですけれど。

『奥さまは名探偵』は、景色が綺麗だなあと思って観ていたからそれほどマイナス・ポイントはないんですが(笑)、こちらにはそれもないし。
フランス映画、合わないのかも知れませんね(汗)。
Commented by cinema-can at 2010-09-21 01:05
こんばんは(*^^*)
いかにも、フランスぽい男女の愛憎劇でしたからね〜。
ちょっとクリスティのミステリーとは違う感じですよね。
『奥さまは名探偵』は、たしかに田園風景が
美しかったですよね。続編できるんですねー。
フランスはクリスティが流行ってるのかな〜?
Commented by odin2099 at 2010-09-21 20:04
お話は(犯人も)知って観ていたので、推理物というより男女の愛憎渦巻くお話だということはわかっていたんですが、それでもちょっとねぇ・・・。
消化不良のキャラが多すぎた気がします。
フィリップとマルトの関係はわからないし、クロエの存在に必然性は感じられないし、フィリップの記憶障害には何の意味があったのか、ジュスヴィエーヌ・エルバンの存在はピエールにとって何なのか、etcetc。
せめて2時間ぐらいは必要だったんじゃないのかなぁ。

『奥さまは名探偵』、続編というかシリーズ第2弾ですね。
来年あたり、日本でも公開してくれると良いですね。
Commented by HIROMI at 2010-09-22 21:39 x
TBありがとうございました。私の方からは送れないみたいです。お返しできずすみません。
エステルが殺人現場でなぜクレールをかばったのかとか、二人の共謀がどうやって成立したのか、とか、謎が残ったままで、犯人が分かっても全然すっきりしませんでした。ちょっと肩すかしでしたね。
Commented by odin2099 at 2010-09-23 10:00
>HIROMI様

コメント、有難うございました。

そうなんですよね。
そのあたりは原作小説を読むとわかるんですが、映画だけでは何とも・・・。
というより、原作だとエステルにあたるキャラクターだけでなく、他にもクレールにあたるキャラから捜査の目を逸らそうという行動をとる人がいます。
そのあたりでポワロも苦戦するのですが。

TBの件はお気になさらずに。
そういうことって間々ありますねぇ。
Commented by sakurai at 2010-10-26 10:25 x
どこまであっさり描けるか!の実験でもしてるのではないかと思うくらい、薄かったですねえ。
フランス映画は結構見てるんで、ご存知の役者さんも5,6人いましたが、ゴージャス・・ってほどでもなかったし・・。
でもお手軽なこの薄っぺらいシリーズは、なんだか続きそうですね。
Commented by odin2099 at 2010-10-26 18:51
おお、辛口発言!

確かに期待していた作品だっただけに、かなり落胆したのは事実です・・・。
まぁ実際はお手軽ではないんでしょうけれども(苦笑)、そろそろ本場イギリス製の、原作に忠実なヴァージョンも作って欲しいもんです。
by odin2099 | 2010-09-20 19:21 |  映画感想<カ行> | Trackback(13) | Comments(8)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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