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『検察側の証人』(1982)

「アガサ・クリスティの」と冠が付いているのでお分りの通り、クリスティーの戯曲『検察側の証人』の、多分2度目ぐらいの映像化作品。
前回はチャールズ・ロートンやマレーネ・ディートリッヒ、タイロン・パワーらが出演したビリー・ワイルダー監督版で、邦題が『情婦』と聞けばご覧になった方もいらっしゃるだろう。

『検察側の証人』(1982)_e0033570_6425727.jpg今回はその時のワイルダーとハリー・カーニーの書いた脚本をジョン・ゲイがリライト、アラン・ギブソンがメガホンを取った。
なのでお話は驚くほど同じで、新解釈とか新鮮味は皆無。
まあ元が面白いのだから、下手にいじる必要は全くないのだけれども。

キャストは弁護士ロバーツ卿にサー・ラルフ・リチャードソン、容疑者のレナードにボー・ブリッジス、レナードの妻クリスティンにダイアナ・リグ、ロバーツ卿の看護婦プリムソンにデボラ・カー、殺害された資産家の老婦人の家政婦マッケンジーにデイム・ウェンディ・ヒラー、検察官マイヤーズにドナルド・プレザンス、という具合になかなか通好みの渋い配役だ。

ワイルダー版に比べると総じて貫禄不足な感じはあるけれど、あちらは最早”伝説”の域なのだから、無理に比較してこちらを貶めることもあるまい。
先にあちらを観てしまえばこちらの評価は下がっちゃうだろうけれども、先にこちらを観ていたら、案外良い勝負だったかも?

…と言いつつも、やっぱりあちらに軍配を上げざるを得ないのは仕方がないか。
演出も凡庸で、役者陣も薄っぺらく感じるのは、これは監督の力量の問題かなあ。
あと、こっちの方は日本未公開作品扱いになってるけれど、実はTVドラマ。
平板なのはそのせいもあるのかも。

Commented by JoJo at 2010-11-12 23:28 x
エクスカリバーさ~ん、こんばんは!
「検察側の証人」他にも映画化されているのですね。でも、まあ、あまりにも「情婦」が素晴らしいので、そこそこの良作でも見劣りしちゃいますよね・・・。

ところでAXNミステリーで放送中のクリスティ作「おしどり探偵」を観ています。内容はどうしてもポワロシリーズには劣りますが、食事時に楽に観られるミステリーで楽しいです。古い作品って、どうしてあんなに味があるのか。でもパーカー・パインシリーズは映像化されないですね?

12月、また恒例のジルベスター・コンサート楽しみですね♪
Commented by odin2099 at 2010-11-13 19:35
JoJoさん、いらっしゃいませ~。

AXNミステリー、いいですねー。『ヒッチコック劇場』なんかも放送してるみたいだし。
でもスカパーとかケーブルテレビに加入したら、絶対に引き籠りになっちゃうので(苦笑)、今は封印。
いつか”悠々自適”なんて日が訪れたら考えたいと思いますが。

古い作品だから、と一概には言えないですが、例えば70年代あたりの作品だと映画界が斜陽になり、職を失った映画畑の人間がTVに流れてきたり、或いは学生時代から映画作りに親しんできた連中が業界入りしたり、と人材が集まってきた時期だった、というのもあるかも知れませんね。
それに放送コードが今ほど厳しくなかったり、スポンサーの影響力が少なかったりで、結果的に作品を作る際の自由度が高かったとか・・・。
Commented by odin2099 at 2010-11-13 19:35
ジルベスターコンサート、今回のマエストロは”炎のコバケン”、小林研一郎。
そしてカウントダウン曲は、マーラーの「復活」第5楽章だとか。
来年7月から12月まで、Bunkamuraは施設改修の為全館休館するそうなので、もしかすると来年はオーチャードホールじゃなく別会場になるのかも知れませんね。
それともリニューアル・オープンのこけら落としがジルベスターかも?
何はともあれ楽しみですが、もうそんな話題を口にする時期になったんですねえ(笑)。
by odin2099 | 2010-10-28 06:43 | テレビ | Trackback | Comments(3)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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