『大坂の陣/豊臣氏を滅ぼしたのは誰か』 相川司
2010年 11月 20日

最初は単に文献を羅列しているだけの無味乾燥な物か、あるいは仮説・推測・憶測に基づき力技で持論を展開していくだけのトンデモ本の類か、と思っていたのだけれども、これはなかなか面白い。特に巷説では豊臣氏滅亡の元凶とされる徳川家康を、終始”秀頼の保護者”として扱っているのは新鮮である。
反対に、豊臣恩顧の大大名とされる加藤清正像に異議を唱え、大野治長を復権し、大坂城内での派閥争いなどにも言及するなど、一般的なイメージを覆しながらも説得力のある論旨には引き込まれるものがある。
実のところはどうだったのか、は勿論分かる由もないのだが、この説に則った新たな大坂城の、豊臣氏の物語を観てみたいものである。