『12人の怒れる男/評決の行方』(1997)
2010年 11月 22日
陪審員を演じたのは、番号順にコートニー・B・バンス(声:仲野裕)、オジー・デイビス(青森伸)、ジョージ・C・スコット(山内雅人)、アーミン・ミューラー=スタール(小林恭治)、ドリアン・ヘアウッド(楠大典)、ジェームズ・ガンドルフィーニ(大川透)、トニー・ダンツァ(石塚運昇)、ジャック・レモン(穂積隆信)、ヒューム・クローニン(真弓田一夫)、ミケルチ・ウィリアムソン(堀内賢雄)、エドワード・ジェームズ・オルモス(宝亀寿克)、ウィリアム・ピーターセン(伊藤和晃)の12人。
ちなみにこの吹替キャストはビデオ版のもので、後にNHKで放送された際には別ヴァージョンが作られたらしい。
昨年は舞台版を観に行ったが、丁々発止の台詞の応酬のある作品は、やはり吹替版の方が楽しめる。

モノクロのオリジナル版に比べるとカラー化されたことで見易くなり、全員白人だったオリジナル版と違い、こちらには何人か黒人が加えられ、キャラクターの描き分けも分かりやすくなっている。
加えて、如何にもヒーロー然とした態度が逆に鼻に付く前作の主役ヘンリー・フォンダよりも、人生の酸いも甘いも噛み分けたかのようなジャック・レモンの方が、その主張により説得力を生み出しているような気がする。これはリメイクがオリジナルを凌駕した、とまでは行かないまでも、比肩しうるものにはなっているという希有な例かも知れない。ジョージ・C・スコットが、この作品で’98年度のゴールデン・グローブ賞を受賞している(最優秀助演男優賞)。
それにしてもこの作品、実際は少年が無罪であったか有罪であったかを明らかにしていないので、ここで描かれる結末がハッピーエンドなのかどうか曖昧なままで終わるのが凄い、というようなことを以前書いたことがあるのだが、今回観ていて改めて感じたのは、陪審員たちも自らの結論に納得していたのかどうかがわからない、というのも凄いことだな、ということ。
論理的に攻め、その結果論理的な証拠に納得する4番、そして自分の息子の姿を犯人に重ね合わせ、感情的になった3番が自分の非を認めて無罪の判断を下す、というクライマックスのカタルシスで観ている方も安堵してしまう部分があるが、特に7番や10番は投げやりに無罪に鞍替えしているし、12番は日和見的に有罪と無罪を行ったり来たりしているだけ。場合によってはもう一回逆転が有り得そうな展開なのが、奥が深いというか何というか・・・。
中古で字幕スーパー版と日本語吹替版、両方を購入したが、是非ともDVD化を望みたい一本。