『ルルの冒険/黄金の魂』(2007)
2010年 12月 03日
弟を元に戻すため島へ向かうルルたちだったが、そこにはその昔ヘルマンたちが倒したはずの悪魔の使者ネクロマンサーが、自らの魂を切り離すことで生き永らえていた。
ネクロマンサーはヘルマンたちが隠した強大な魔術の書を手に入れるべく、ルルたちに襲いかかる・・・!
デンマーク、スウェーデン、ドイツ合作のファンタジー映画。
邦題もパッケージも完全に『ライラの冒険/黄金の羅針盤』にあやかったものだが、ご丁寧にも同じメーカーから同日リリースというから恐れ入る。
但しその内容は決して紛い物ではなく、ストーリーにも共通点はない。

ファンタジー映画と言い切るには画面がちょっと暗めだし、黒魔術とか魔法陣とかややオカルト寄りの要素もあるものの、ドギツイ描写はないのでちっちゃな子が観ても大丈夫。
父親を慕って心を閉ざした思春期の少女ルル、若干反抗期気味の弟シルベスター、成り行きでルルと行動を共にすることになる隣人オリバーはオタク少年、怪しげな霊媒師、もとい超常現象研究者リカードはボンクラ青年、そしてヘルマンは、ネクロマンサーを倒そうとして恋人を失い、その虚しさに耐えきれずに自ら命を絶った男、というキャラクター造形もなかなか深く、子供向きかとバカにしたものではない。
研究家の青年の発明品が、これまた役に立たなそうでクライマックスではきちんと見せ場があるのもお約束だし、子どもたちに無理解な母親が、最後に和解するハッピーエンドも定番。
舞台となるのは田舎町と小さな島だけだが、19世紀の悪魔払いの儀式のシーンに始まり、全体のロケーションも美しく、視覚効果などのビジュアル面も見応えがあるので、決して未公開のB級映画だと侮ることなかれ。
ヒロインのサラ・レンジベック・ガーマンは、可愛いというより美人タイプの娘で、そのちょっとツンツンしたところが魅力的だ。