『高嶋ちさ子名曲案内 オーケストラ劇的 Before&After』
2010年 12月 06日
いつもとはちょっと違ったちさ子さんのコンサートです。
矢澤定明指揮のロイヤルチェンバーオーケストラを従え、敷居の高そうなクラシック音楽、オーケストラをもっと楽しもうという趣旨のものでした。

オープニングはグリンカの歌劇「ルスランとリュミドラ」から「序曲」。それほどメジャーとは思えない曲を持ってくるあたり、何か拘りがあるようです。
この曲が終わるとちさ子さん登場。
次はチャイコフスキーの「交響曲第5番」第2楽章なのですが、それほど馴染みがないだろうと、まず第1主題と第2主題を単独でちょこっとだけ聴かせて「こんな曲だよ」と紹介した後で正式な演奏へと移る、という流れでした。クラシックの入門的なコンサートだと、こういう企画は良いですね。耳の肥えたガチガチのファンならば「余計なことを」と思うところかも知れませんが、そういう人はまずちさ子さんのコンサートには足を運ばないでしょうけれど。
次なるコーナーは<オーケストラ解剖学>。
普段は後方に座っている楽団員を前に集合させ、楽器と自己をアピールするという企画。ファゴット、ホルン、オーボエ、ピッコロ、フルート、トランペット、クラリネット、コントラバス、サックス・・・皆さん何かしら芸を披露して下さいます。最初にちさ子さんが紹介してましたけど、このオーケストラのメンバーはノリの良い人が揃っているようで。大爆笑のうちにコーナーは終了。
その後、プログラムに載っていないルロイ・アンダーソンの「トランペット吹きの休日」も演奏されました。
次はドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界”」から第2楽章なんですが、これは短縮(?)ヴァージョン。所謂「家路」のメロディーだけで終わってしまいました。その後が好きなんだけどな・・・残念。
そして一部のラストはラヴェルの「ボレロ」。
ここで何と”めくり”が登場。主旋律を次から次へと色々な楽器が引き継いで演奏していく曲ですが、今演奏している楽器が何なのか、演奏に合わせてちさ子さん自身が”めくり”を使って教えてくれるという画期的なもの。これ、凄く良かったです。

次もヴァイオリン曲でマスネの「タイスの瞑想曲」ですが、今度はハープを最前列へ持ってきて掛け合いで(ちさ子さん曰く「さしで」)演奏してました。
次は<指揮者ってなぁに?>と題するコーナーで、初めに指揮者の役目について矢澤さんが語り、その後は客席から希望者を募り、結局三人を壇上に上げて実際に指揮者に挑戦させる、というものでした。
課題曲として披露されたのは(これまたプログラムに載ってない)ブラームスの「ハンガリー舞曲」。一見すると簡単そうではありますが、実際に振るとなると難しいんでしょうね。
二部のラストはスメタナの「モルダウ」と、リムスキー=コルサコフの「交響組曲シエラザード」。
ちさ子さんはどうしても「シエラザード」のソロ・パートを弾きたくて、今回特別にオーケストラのメンバーとして参加。このオーケストラのコンサートマスター(女性なのでコンサートミストレスかな、本当は)は、ちさ子さんの同級生だそうで、頼み込んで臨時のコンサートマスター就任と相成ったようです。
アンコール一曲目は、バーンスタインの「ウエストサイド・ストーリー」から「マンボ」。
「マンボ!」と掛け声を掛けるタイミングを客席に練習させてから、という熱の入れようです。
もう一曲はモンティの「チャルダーシュ」。
ちさ子さんのコンサートではお馴染みの曲ですが、バックがオーケストラとなるとやっぱり違いますね。
貼ってあったタイムスケジュールを見ると、結局20分ぐらい押したみたいですが、その分充実したコンサートで、大いに笑い、楽しませて頂きました。
ライヴのDVDとか、出して欲しいもんですけどねえ。