『G-SAVIOUR<フルバージョン>』(1999)
2010年 12月 19日
それがこの『Gセイバー』!
「機動戦士ガンダム」20周年記念作品にして、「ハリウッドSFX技術を駆使した『実写+CG』の日米合作”MSストーリー”!!」(パッケージより)、なのです。

ところがJALの機内上映はされたものの、一般公開は未定のまま。1999年中にTV放映もしくは劇場公開も、という話もありましたが音沙汰がなく、ようやく2000年の暮れになってから唐突にTVでひっそりとオンエアーされました。しかも1時間半枠だったので、約20分の短縮版。
おかげで、続編にあたるPS2のゲームソフトの方が先に発売されちゃうという”捻れ現象”まで起こってしまいました。
今は完全版(フルバージョン)をビデオやDVDで観られるようにはなっていますけれど、もう「ガンダム」ファンでも存在を忘れていたり、知らなかったりするんでしょうな。
ちなみに大々的な謳い文句とは裏腹に、これはTVドラマです。成功すればTVシリーズ化も狙っていたパイロット版だったのでしょうか。
舞台は宇宙世紀223年、主人公は元・地球議会軍のパイロットだったマーク・カラン。地球連邦政府はどうなっているのかはわかりませんが、意外にもオリジナル「ガンダム」の地続きという設定のようです。てっきりパラレルワールドなのかと思ってましたけど。
今のところ、この223年というのが「ガンダム」ワールドでは一番の遠未来ということになりますか(黒歴史化している『ガイア・ギア』も、ラジオドラマ版によれば宇宙世紀203年という話)。単純に言えば、アムロやシャアが活躍していた頃より130~140年後の時代ということですね。カミーユやジュドーの孫とか、ブライトの曾孫なんかが健在なのかも知れません。
あ、ちなみにこの作品によると、西暦2045年が宇宙世紀元年みたいです。
お馴染みのサイド7は出てきませんが、「ニューマンハッタン」と呼ばれるサイド4や、「ガイア」と呼ばれるサイド8が出てきます。そしてモビルスーツという呼称も出てきます。
アニメでも”宇宙世紀”以外の世界を描いた作品が増えていることを考えると、実写版ならばなおのこと避けようとしそうなものですが面白いですね。
しかし、肝心のお話はちっとも面白くありません。
地球の食糧危機から始まって、それを解消しようとする新研究を巡っての対立が起こるのですが、その研究を何かに転用しようとか、権利を独占しようとかいうのではなく、それを闇に葬ることによって人々を恐怖で支配する軍事独裁政権樹立を目指した軍の暴走、という構図が分かり辛いのです。
今回<フルバージョン>を初めて観ましたが、以前TV放映版を観た時はもうちょっと好意的な反応を持っていたのですがね・・・(本家サイトの「お茶の間」参照)。
主人公を始め、キャラクターも、演じる俳優も全て魅力薄。更にそれに拍車をかけているのが所謂タレント吹替で、完成度を大きく貶める結果になってしまいました。
これが、例えば古谷徹、潘恵子、池田秀一、永井一郎あたりを起用していたとしたら、イメージ云々の問題はあるにしても、もう少し見応えというか聴き応えのある台詞の応酬にはなっていたと思うのですが。
後でチラっと字幕版で観てみたら、結構印象が変わりました。そのうち記事を再UPするかも、です。
10年以上前の作品なので、CGの技術、そして演出面での未熟さには目をつぶるとしても(TVドラマだということを考えれば、それなりに金が掛っている感じはします)、ガンダムらしさのかけらもなく、チープな人間ドラマが繰り広げられるだけでは、なかなかファンは満足しないと思います。一般人ならなおのこと。
一応製作の主体はサンライズ側にあったようですが、実製作段階ではどの程度関与出来たのでしょうかね。
モビルスーツとスペースコロニーを出せば「ガンダム」になると思ったら大間違いです。