『宇宙戦艦ヤマトと70年代ニッポン』 アライ=ヒロユキ
2010年 12月 30日
それでも何点かは出ていて幾つか読んではいますが、そんな中では一番ファン寄りの内容かなあと思います。
兎に角この手の本は誤字脱字レベルではない著者の勘違い、記憶違い、調査不足による事実誤認が多くて、その時点で読んでいて嫌になっちゃうものも少なくないのですが、この本はそのあたりは比較的まともですし、パート1だけ、あるいは「さらば」までしか「ヤマト」として認識されない風潮の中で、とりあえず「復活篇」まで網羅(一応は「2520」の存在にも言及)しているのは好感が持てます。
それに西崎寄りでも松本寄りでもない、ほぼ中間の立ち位置で語っているのも良いんじゃないでしょうか。
角川映画(角川春樹事務所時代の)との比較なども面白いとは思いますがさほど深入りはせず、また書名ほど「70年代ニッポン」を強調したものでもないので、何となく薄っぺらな、というか中途半端な印象も受けます。
もっとひたすらに「宇宙戦艦ヤマト」を語り、その流れの中で70年代、80年代、90年代、そしてゼロ年代の文化に触れていく方が良かったのでは?
そして「完結編」以降、「復活篇」までを語るのならば、「ヤマト」だけではなく、他の西崎作品にも触れるべきだし、松本零士の存在感を語る上でもやはりもう少し他の作品の考察を盛り込むべきだったのでは、という気もしますが、当時の気分を知らない人には新鮮な情報が満載だと映るでしょうね。
「宇宙戦艦ヤマト=70年代文化批評」と帯にありますけれど、それほど大上段に構えず、リアルタイム世代の「ヤマト」に対する感想文としては一読の価値があるんじゃないかと思います。
松本作品から名台詞を選び出し、解説する最近流行の本ですね。
読み終わったらワタシのとこで記事にするつもりです。
あと、「松本零士監修 宇宙戦艦ヤマト大クロニクル」(というタイトルだったかと)というムック本もありました。
こちらは買ってませんが、実写版ヤマトにあやかってでしょうかね。
まー、昔の豪華本やロマンアルバムや別冊アニメックなどを買えなかった人向けかな。
結構ミスがあったりするのが気になるんですけどね。
「名言集」は立ち読みで済ませちゃいました(笑)。