『奥さまは名探偵/パディントン発4時50分』(2008)
2011年 05月 23日
退屈な日々に厭いていたプリュダンスは、叔母の話を聞くと独自に調査を開始。殺人を目撃した直後に列車が急カーブで曲がったとの叔母の証言から、線路がカーブする近くにある屋敷が怪しいと睨み、夫に内緒で家政婦として潜り込んでしまう。そこには偏屈な老主人とその娘、姪、それに父親と不仲の兄弟たちが滞在していた。
屋敷を散策中にプリュイダンスは女性の死体を発見し、警察の捜査が始まったが、その中には勝手な振る舞いをした妻を監視する役目も兼ねたベリゼールの姿も――。
『奥さまは名探偵』、『ゼロ時間の謎』に続いて、パスカル・トマがアガサ・クリスティーの小説を映画化した3作目で、主人公は1作目同様、原作の”おしどり探偵トミー&タペンス”を翻案したベレスフォード夫妻で、プリュダンス役のカトリーヌ・フロ、ベリゼール役のアンドレ・デュソリエはそのまま続投している。
ただしこのお話そのものは<トミーとタペンス>シリーズではなく、<ミス・マープル>シリーズの一篇。何故この作品を選んでアレンジしたのかは不明である。
原作は未読だが、以前観た『ミス・マープル/夜行特急の殺人』よりは原作に忠実に作られているとのこと。
いつプリュダンスの正体がバレるかとヒヤヒヤしながら観ていたのだが、最後までそういうシークエンスはなし。一家には正体不明の胡散臭い人物だと思われる程度で、もう一人正体を隠している夫ベリゼールとのドタバタを含め、コミカル描写はなかなか良い感じである。
また老主人を始めロクな男共がいないこのお屋敷だが、何故かプリュダンスはモテモテ。しかし彼女って孫までいる設定なので、ちょっと無理があるような・・・?
殺人犯は誰なのか、だけでなく、殺されたのは誰なのか、という興味でも引っ張って行くストーリーなのだが、最後が駆け足になっているのが残念。これ、3作共通の感想でもあって、上映時間がもう10分か20分あれば・・・とも思う。それに今回はお屋敷の中の話なので、前2作ほど美しい風景を拝めないのが難点ではあるが、まとまり具合としては3作中で一番かも知れない。
宣伝文句には「アガサ・クリスティー原作3部作最終章」と謳われているが、もう何本か映像化して欲しいものである。
それにしても「日本での劇場公開を楽しみにしている」と以前『華麗なるアリバイ』を観た際に書いたことがあるのだが、いきなりDVDスルーになるとは思わなかった。
前2作、それに『華麗なるアリバイ』も含めてヒットしなかったのだろうか。
2005年製作のフランス映画です。 主演のカトリーヌ・フロは「女はみんな生きている」「地上5センチの恋心」でファンになりました。 とてもチャーミングな女優さんで、コメディーが多いようですが、 シリアスなサスペンスドラマ「譜めくりの女」ではピアニストを演じておら...... more
夜行列車に乗ったベレスフォード大佐の叔母のバベットは、ベレスフォード夫妻の家に向かう。夜、車中でふと目を覚ましたバベットは、併走する別の列車で起きた殺人事件を目撃する ...... more
「プロヴァンスの贈り物」へのTBありがとう
ございました♪これは、おっしゃるように現実感のない
大人のファンタジーっぽい作品でしたが、何気に癒しの
効用があって、楽しんでしまいました。
ところで、本作。シリーズ化してるのですね!前作もけっこう楽しめたので、これもストーリーは知っているけれど、楽しめそうです。観たい観たい!
でもおっしゃるように、なぜミス・マープルの作品を使用したのでしょうね!?フランスのクリスティ原作作品は、けっこう当たりはずれがあるように思いますが、これはわたしはけっこう好きかもしれないので、放送を待つばかりです♪
今度、クリスティ作品が2本映画化されるらしいので、それも楽しみですね!
単純に比較するならば前作よりもこちらの方が楽しめるかも知れません。
でも何故<ミス・マープル>から持ってきたのかわかりませんし、現代のフランスが舞台なので邦題にあるように列車は「パディントン発」ではありません(笑)。
先日ニュースが流れた2本の新作、一本は『ねじれた家』で、もう一本は<ミス・マープル>物だそうですが、こちらはキャラクターだけ活かしたオリジナルになるらしいですね。
ホームズならいざ知らず、ポワロやマープルはあんまりオリジナルに向かないような・・・?
いっそ数年経ったら、このシリーズのカトリーヌ・フロをマープルに配してフランスで映画化したらどうかなあ、なんて思ったりして。
お話は直接繋がっていませんが、ベレスフォード夫妻のキャストは同じです。
カトリーヌ・フロという女優さん、それほど”美人”というタイプではないと思いますが、年齢を感じさせないチャーミングさがある方ですね。