『ナルニア国ものがたり/朝びらき丸 東の海へ』
2011年 08月 19日
以前出ていたDVDは「ものがたり」と平仮名表記だったが(岩波書店より出ている原作本と同じ)、再発売されたDVDでは「物語」と漢字表記(劇場版と同じ)になり、更に第1章、第2章・・・と章立て表記になっている。
全ては劇場版に肖ってのことだろう。
製作は1988年から1990年となっているが、おそらく第1章の「ライオンと魔女」が88年、第2章「カスピアン王子のつのぶえ」と本作が89年、そして第4章「銀のいす」が90年の製作では?と思われる。
第2章と第3章は原作と違って直結しており、第2章のラストでこちらに戻ってきたエドマンドとルーシーはユースチスの家に行き、そこで再びナルニアへ呼び戻される、という流れになっている。
お話は概ね原作通り。子ども向けということで表現が甘く、柔らかく改められたりしている部分もあるが、劇場版の『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』の展開に違和感を覚えた原作ファンも、こちらは懐かしく思い返すのではないか。
ただ、それで面白くなっている訳ではないのが難しいところである。
国営放送製作のTVドラマということで丁寧には作られているのだが、ビデオ撮り丸出しの質感の無さ、20年前の作品だということを割り引いてもチープさの残るセット、着ぐるみ、特撮(というほど大げさなものではなく、せいぜい合成が使われている程度だが)は、真面目に見るにはかなり辛い。
日本で言えばNHKの大河ドラマ規模なのだろうが、どちらかというと教育テレビ(Eテレ)でやる子ども向けバラエティ番組の1コーナーのようだ、というと言い過ぎだろうか。
演出も平板で、子役も含めて役者陣に魅力もないし、特に最近の映画版シリーズで興味を持った人は見ない方が良いだろう。
第4章まで作られたものの、残りの第5章「馬と少年」、第6章「魔術師のおい」、そして第7章「さいごの戦い」が作られなかったのは、当初からそういう予定だったからか、何らかの理由で中止になったのか、さてどちらだろうか。
ところで映画版は第2章が期待通りの成績ではなかったとしてウォルト・ディズニーが手を引いたために続行が危ぶまれたが、20世紀フォックスが加わることで第3章が実現。それで打ち止めかと思われたが、聞くところによると4章、5章を飛ばし、次はシリーズの発端を描く第6章を映画化することで計画が進められているらしい。
その後は完結編として第7章を映画化するとか。
外伝的な第5章はともかく第4章が無視されたら悲しいが、それによって打ち切りが回避され、映画版「ナルニア国年代記」としてきちんと完結してくれるのならば良しとしたい。