スピルバーグ一党が作った
劇場版『トワイライトゾーン』のヒットは、そのままSF、ホラー、ミステリー系のオムニバスドラマブームへと発展。
『新トワイライトゾーン』や『新・ヒッチコック劇場』などが作られましたが、スピルバーグも自らTVシリーズを立ち上げました。
それが『世にも不思議なアメージング・ストーリー』です。
その中から先ず3つのエピソード(セグメントと呼ばれています)が選ばれ、劇場用映画としてお色直し。
各セグメントを繋ぐカットや、オリジナルのエンドロールも追加されています。
基本的には30分番組なのですが、中には1時間枠で放送されたものもあり、この劇場版では第1と第3セグメントが1時間枠のものになっています。
第1セグメント
「最後のミッション」はスピルバーグ自身の監督作品。
無名時代のケビン・コスナーが主演です。
時は第二次大戦の最中、出撃した爆撃機は敵機を撃墜したものの被弾してしまいます。
何とか基地への帰投は可能ですが、燃料もなく車輪も壊れ、助かる道は胴体着陸のみ。
ところが下部銃座には爆撃手が閉じ込められたままで、着陸すれば彼は押し潰されてしまいます。
さて搭乗員たちは?というサスペンス物ですが…オチには唖然とさせられてしまいました。
サッパリ訳が分からず、これを”奇跡”で片付けて良いものか。
せっかくの感動的なお話が、これじゃあぶち壊しだと当時劇場で憤慨したものです。
この結末、許せますか?
第2セグメントは
「パパはミイラ」。
邦題だと何のことやらよくわかりませんけれど、ママとミイラがどちらも「マミー」なのに引っ掛けた洒落なんですね。
映画のロケ中に、ミイラ役の俳優さんの奥さんが急に産気づいたと連絡が。
彼は急いで病院へ向かいますが、ミイラの扮装のままだったので、周囲から追い回されて大騒動。
その最中に本物のミイラが出現して…というドタバタ調のホラー・コメディです。
今回唯一の30分エピソードですが、小粒でもピリっとしていて一番良く出来ています。
ミイラ映画の監督さんが、どことなくスピルバーグに似ているのも笑えます。
監督の
ウィリアム・ディアはこの作品でスピルバーグに認められ、
『ハリーとヘンダスン一家』の監督に抜擢されることになりますが、そちらもなかなかの秀作でした。
第3セグメントは
「真夜中の呪文」、スピルバーグの弟分
ロバート・ゼメキスが監督を務めています。
厭味な教師にいじめられた二人の生徒が、ひと泡吹かせてやろうとしゃっくりが止まらなくなる呪いをかけようとするのですが、その呪いが効きすぎて…という、これもホラー・コメディです。
クリストファー・ロイドの怪演は楽しめますが、全体としては悪ノリのしすぎという印象で、それはこの映画全体に言えることでもありますね。
この映画版、当初は全てスピルバーグの監督作品でまとめるという話でしたが、結局監督したのは2本だけ。
他にもピーター・ハイアムズやジョー・ダンテ、トビー・フーパー、
マーティン・スコセッシ、
クリント・イーストウッド、アービン・カーシュナーらが監督したエピソードもありますが、番組はそれほどの支持を得られず2シーズンで打ち切りになってしまったようです。
日本ではこの劇場版公開に続いてビデオで発売されたり、TVの映画放送枠で流されたりしましたが、さして話題にもなりませんでした。
最近になってようやく全話がDVDで発売されましたので、改めて見てみましょうかね。
ちなみに番組のテーマ曲とスピルバーグのパートの音楽はお馴染みジョン・ウィリアムズですが、ゼメキスのパートの音楽担当は名コンビのアラン・シルベストリ、そしてディア監督のパートではダニー・エルフマンが参加しています。