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『マネーボール』(2011)

マイケル・ルイスの書いた『マネー・ボール』は以前楽しく読んだことがあり、映画化が報じられた時は驚きつつも期待して待っていたのですが、やっと見ることが出来ました。
”野球”を扱ってはいますが、”スポーツ物”とは呼べない不思議な作品、それがこの『マネーボール』です。

『マネーボール』(2011)_e0033570_2249584.jpg主人公は貧乏球団のゼネラル・マネージャー(GM)ビリー・ビーン。
彼は他の球団とは違った基準で選手を判断し、相手にされないマイナーな選手を安く獲得し、不要な選手を他球団に高値で売り付けることで、金持ち球団と互角に渡り合ってきました。
そんな彼の半生がブラッド・ピット主演で描かれている訳ですが、原作はドラマ性のある小説ではなく、どちらかというとビジネス書。そんなものが映画になるのかなあと思っていましたが、メジャーリーグの裏舞台という華やかさとは無縁な世界を、ちゃんとエンターテインメントに仕立て上げています。

ただ難しいのは単なるサクセス・ストーリーにしなかった点、というより出来なかった点でしょうか。
将来を嘱望されプロの道を選んだものの、結果を残せずに裏方へ転身したビリー。挫折した人間が周囲の反対に遭いながらも栄光を掴む、というのはわかりやすい展開ではありますが、結局ビリーは未だに頂点には立っていません。
彼の取り入れたシステムの有効性は、むしろ他球団に取り入れられることによって評価され、実績を残し、そのことでかえってビリーは苦境に陥っているというのが現状です。

それでも古くからのしきたりや伝統に縛られていた野球界に、一つの風穴を開けた先駆者の物語として、この映画は燦然と輝くのだと思います。
Commented by sakurai at 2011-12-13 15:32
ですねえ。
物語的に成功ものにしちゃうと、えらく嘘っぽくなってしまいますもんね。
この間、サンデーモーニングで、張本が「日本はGM方式は合わない!」と豪語してまして、義理人情の日本では導入するのが無理だ。。。みたいに言ってたんですが、アメリカだって義理人情だよなあどもチラッと思いました。
Commented by odin2099 at 2011-12-13 23:14
本の方を読み返しているんですが、映画は事実関係が随分と違っているんですね。
なので、ちょっとアレレ?という部分も。
それに映画だと「出塁率」の話しかしていない印象ですが、実際はもっと色んなデータを活用してます。

GM制度は確かにそっくりそのまま日本で定着するとは思えないのですが、親会社から出向してきた名ばかり球団社長やオーナーではなく、もっと野球や球団経営に徹したプロが出てくるべき時に来てるのかな、と思います。
球団だけでなく、コミッショナーも。

そしてデータ重視の姿勢は、”ID野球”じゃないですが、むしろ日本的なのでは、と考えております。
by odin2099 | 2011-12-12 22:49 |  映画感想<マ行> | Trackback(22) | Comments(2)

悪文礼賛


by Excalibur(エクスカリバー)
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