『8人の女たち』
2011年 12月 28日
クリスマス・イヴの朝、留学中の長女のシュゾン(マイコ)が休暇で帰ってきた。だがその再会を喜ぶ間もなく、主人のマルセルが遺体で発見される。その背中にナイフを突き立てられて・・・。
そこに「兄が死んだ」という電話があった、というマルセルの妹ピエレット(浅野温子)も現れる。
電話が通じず、折からの大雪で屋敷に閉じ込められた8人の女たちは、互いに疑心暗鬼に駆られる。この中に犯人がいる。一体それは誰なのか、と。
銘々が勝手な推理を繰り広げる中で、各人が抱える秘密が、嘘が次々と暴かれて行く――。
ル・テアトル銀座にて24日鑑賞。
原作はロベール・トマ、上演台本と演出はG2。
出演者は8人の女優のみで、誰もが主役という意味から、ビリングは50音順で表記されていた。
トマの作品は昨年『罠』と『W/ダブル』(これもG2演出)という2本の作品を見、すっかりその魅力の虜になってしまい、その後で映画版の『8人の女たち』も見ているので、今回は待望の舞台版鑑賞。
結末に至るどんでん返しまで全て承知で見ていたのだが、やはりこの作品は面白い。
誰が嘘を吐いていて、誰が本当のことを語っているのか、についてはネタバレになってしまうので多くを語れないが、結局は誰ひとり秘密を持たないものはいない、ということになるのではないか。
舞台を客席の配置を変更し、本来舞台がある位置にも客席を用意し、舞台を逆に劇場のやや中央寄りに配置。
両サイドから舞台を眺めるという形にしたのは面白いが、本来の客席の、しかも後方の座席からではかえって見辛く感じられたのは残念。
また女優陣の丁々発止の遣り取りが醍醐味の作品だが、個々の力量にはどうしても差が出てしまうので(演技の優劣だけでなく、舞台向きか否かにもよる)、まとまり具合は今一つ。
パズルのピースを埋めようとして行くと、何故か微妙に歪んでいてピタリと収まらないもどかしさ、というか。
その中でも振り幅が広い役だからということもあるのだが、戸田恵子と荻野目慶子が出色だった。