【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(2008)

2010年のモントリオール国際芸術映画祭で審査員賞受賞の作品です。日本でも同年に劇場公開されています。

e0033570_21225365.jpgフェルメールの「牛乳を注ぐ女」やレンブラントの「夜警」など、自分でも知っているような様々な著名作品を抱え、大英博物館やルーヴル美術館に比肩しうると言われているのがオランダのアムステルダム国立美術館。
ところがここは2004年から改築工事が始まったものの、未だに閉鎖中なのだそうだ。

この作品は本来、改築工事の記録映画となるはずだったのですが、工事は一向に進みません。
国際的なコンペで決定したはずの設計プランが、地元市民の反対に遭って頓挫。軌道修正を試みるも、市民団体だけでなく役人からも次々と横槍が入っていきます。
それでも、どうにかこうにか着工に漕ぎつけたと思ったら、今度は入札が失敗という有様。

美術館の職員たちは、どこに何を飾ろうか、あれを選んでこれをボツにして・・・などとやっているのですが、肝心の建物は出来ないし、段々モチベーションも下がっていきます。
度重なる変更、修正に建築家はやる気をなくし、学芸員も現場を離れ、遂には館長まで辞職するという事態にまで陥ってしまいます。

この映画は2008年に作られましたが、当初はこの年に再オープンのはずでした。本当なら完成披露パーティか何かの映像で締めくくろうとしたのだと思いますが、工事が中断したままであたかも廃墟のような美術館の姿で終わってしまいます。
それでもどうやら動き始めたらしい、というようなテロップが最後には流れますが、実際のところはまだまだ完成には至っていません。

途中で日本でのシーンがかなり長めに挿入されているので驚きましたが、この美術館には日本の作品が無く、どうしてもということで交渉を重ね、一対の金剛力士像を購入したんですね。
でも、せっかくの日本からの美術品も、今は所蔵庫で眠っているだけなのは実に勿体ないことで。

とにかくこの映画、かなり笑えます。
勿論作り手は大真面目に作っているでしょうし、映画に登場する館長、学芸員、修復家、装飾家、警備員などの美術館の職員、政治家、建築家、市民団体の皆さん、それぞれ自分の立場で正当な、真っ当な主張をしているつもりでしょうから笑われるのは本意ではないはずですが、逆にだからこそ笑いがこみあげてきます。
現在の予定では今年中か、来年の初めぐらいには再オープンの見通しらしいのですが、はたして今度こそ完成するのでしょうか。

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by odin2099 | 2012-01-26 21:25 |  映画感想<ヤ行> | Trackback(11) | Comments(4)
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Commented by リバー at 2012-01-27 16:02 x
TB ありがとうございます。

先になかなか進まない、これが現実なんでしょうけど
滑稽ともいえるほどに・・・

私的にはもっと遊びがほしかったかな
けっこう真面目に描いてましたね
Commented by odin2099 at 2012-01-27 23:03
こちらこそ有難うございました。

多分もっとシリアスにももっとコミカルにも作れるんだと思いますが、スタッフはコミカルに作りたかったんでしょうかね。
大真面目に作ったら、結果的に悲喜劇になってしまった、というような気もします。
日本版の予告編は明らかにコメディ映画扱いですけれど・・・。
Commented by BC at 2012-03-13 23:58 x
エクスカリバーさん、こんばんは。

日本の現場は納期に追われてがんじがらめになっていたりするので
この作品の現場の“ゆるさ”は羨ましく思えたりもしました。
国民性の違いなのでしょうね。
Commented by odin2099 at 2012-03-14 23:18
>BCさん

日本でもスムーズに行かない工事は沢山あるんでしょうけれど、ここまで良く言えば大らか、悪く言えば無責任なのはちょっと考えられないかも知れないですね。

でも・・・自分はやっぱり日本人かな(笑)。
この為体、ちょっと、いやかなーり許せなく感じてしまっています。

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