『月世界旅行』(1902)
2012年 02月 09日
断片的に見たことはあったが、今回初めてナレーションとBGM入りの完全版(なのかな)を見た。
天文学会の会長が月への探検旅行を発表。一度は反対意見も出るが、学会は賛成し、巨大な砲弾型のロケットを製作。会長の他5人の乗組員が選ばれ、月世界へと出発する。
そこは神秘の世界であった。やがて彼らの前に、月の先住民族が現れて・・・・・・。
てなお話なのだが、まず大砲で砲弾型のロケットを直接月へ打ち込むという発想が素晴らしい。
着陸というより直撃で、このシーンが有名な人面月の右目の部分にロケットが刺さっているビジュアルだ。
じゃあ帰りはどうするんだろう、月世界で砲台を作るのかな、と思っていると何とロケットを高台に運び(どうやって?)、月面の崖から落下させるという方法。
お空に浮かぶ月から、下に向かうと地球へ帰ってくるという理屈(?)なんである。
うーん、凄いけど、そんなバカな。

一時は捕虜になったりもするけれど、その手を逃れると大量殺戮を行い(苦笑)、そして地球へと意気揚々と引き上げてくるんである(いや、あれは逃げ帰ってきたのかな)。
随分血の気の多い学者センセイたちで、他人の家に勝手にズカズカ土足で立ち入り、さんざ家を荒らしまわった挙句に住んでいる人を殺しちゃうという、かなーり人道的に問題ある行為をするだけなのだ。
これ、わかっててギャグや風刺でやっているのか、それともこの映画が作られた時代では正統派の論理なんだろうか。
ともあれ、この作品のビジュアルイメージは今でも新鮮。
当時の人にはどれほどの驚きを与えたのだろうか。