『エンロン/巨大企業はいかにして崩壊したのか?』(2005)
負債総額2兆円、失業者2万人、今世紀最大とも言われた全米7位の巨大企業の崩壊は何故起こったのか、元社員や関係者、アナリストなどの証言を元に構成されています。
もう10年以上前の事件ではありますが、ニュースで大きく報じられていたのをまだ覚えています。ただ同じ頃に例の”9.11”同時多発テロ事件も起きていますので、どちらかというとその陰に隠れてしまった感はありますが。

方の抜け道を探し、政治家にすり寄り、綻びが出てくるとそれを隠蔽するために新たな手法・手段を用い、結果として多くの人が職を、財産を失いましたが、結局トップは巨額のマネーを手にし、自分には無関係だと言い張ります。
中でも電気料金を上げ利潤を追求するために、カルフォルニア州で計画的な停電まで実施したのは、これは立派なテロ行為だと思います。
住民からの反発の声が強くなると、親子二代で親密な関係になったブッシュ大統領に働きかけ、国としての介入を見送らせるという周到さ。
これに反発した州知事を徹底的に非難し、代わって当選したのが、かのアーノルド・シュワルツェネッガーだということを知ってしまうとかなり複雑な気持ちになります。
その後、多くのトップには有罪判決が下されていますが、未だにアメリカ経済はこの時の痛手を引きずっていることを鑑みると、”今世紀最大”の冠も強ち誇大な表現とも言えないようですね。