『妹がスーパー戦隊に就職しました』 大橋崇行
2012年 03月 20日
ただ「ウルトラマン妹」が円谷プロ監修なのに対し、こちらは東映公認というワケではありません。まあ話は付けてあるみたいなので、黙認ってところでしょうか(クレジットはされていませんが、「企画協力」ってことらしいです)。
宣伝文句には「大人のための戦隊ヒーロー小説」とありますが、想像していたのとは随分違う内容でした。
まずタイトルに少々違和感がありますね。まあ間違いではないのですが、戦隊ヒロインとなった妹を持つ兄の奮闘話ともちょっと違います。兄妹揃って戦隊メンバーなんですよね。
男1人女4人の戦隊で、株式会社。普段は別の仕事をしながら、いざという時にはヒーローとしても活躍するのですが、企業なので利益を上げなければならない、という世知辛い設定になっています。
また司令官や科学者など支援するメンバーも女性が多く、全体でラブコメ要素が強くなっています。
その一方でヒーロー側にも悪役側にも複雑な人間関係の柵があったり、神秘学や精神世界ナドナドある種のオカルト的要素が盛り込まれて世界観がイマイチ掴みづらかったりと、もっと明るく楽しいおバカな小説を期待して読んでいたので結構戸惑いました。それにラストもあんまり後味の良いものではないし、戦隊モノのパロディ要素も意外に少なめです。
”妹萌え”小説としても微妙かなあと思うのですが、愛好家の皆さんにはちょっと毛色の違った作品として受け入れられるのでしょうか。
とりあえず<スーパー戦隊>ファンの皆さんには、全くの別物ですので強いてお薦めはしません。自己責任でどーぞ。