『エンロン』
2012年 04月 15日
だが株価は上がるものの、将来の見込み収益を前以て計上するという「マーク・トゥ・マーケット」のシステムは、実際の現金をもたらしてはくれず、実体は大きな損失を抱えていた。
ジェフリーの部下アンディ・ファストウ(豊原功補)は一計を案じ、シャドー・カンパニーを作って肩代わりさせ、帳簿から見事に損失を消して見せたのだ。
強気の攻めを見せ、市場に君臨するエンロン。しかし次第にその綻びが見え始めていた・・・。

他の出演者は秋山真太郎、伊礼彼方、植原卓也、末次美沙緒、ちすん、長谷川寧、林勇輔、古川雄輝、松原剛志、満島真之介、宮下今日子、内田愛・廣井若葉(Wキャスト)。
「ローレンス・オリビエ賞最優秀演出賞を始めとする数々の演劇賞を受賞した超話題作が、ついに日本上陸!」という触れ込みだが、イギリスでは大ヒットしたものの、ブロードウェイ版はそれほど成功しなかったのだとか。
先日『エンロン/巨大企業はいかにして崩壊したのか?』という映画を見たが、あれは関係者の証言やニュース映像などで構成されたドキュメンタリー。しかしこちらは、ミュージカルでこそないものの、歌ありダンスありの娯楽作。日本ではこういった社会的大事件が起こった時に、それをエンターテインメント作品にして楽しもう!という発想にはなかなかならないと思うので、あちらの人の度量の広さというか、何でも愉しんでしまおうという姿勢には頭が下がる。
しかもエンロン倒産からまだ10年。過去のこととしてしまうには、あまりにも生々しすぎる題材だと思うのだが。
舞台は一部が70分、休憩15分を挟んで二部が85分で、トータル2時間50分。
映画を見た時には今一つカラクリが分からなかった損失隠しの方法が、この舞台版では丁寧に説明されていて分かり易かった反面、専門用語が飛び交うし、トレードの仕組みやメイン・キャラクターの肩書、立場などやはりある程度の予備知識があった方がより楽しめるだろう。
天王洲銀河劇場で13日から29日まで。来月はイオン化粧品シアターBRAVA!(大阪)、名鉄ホール(名古屋)での公演も予定されている。
しかし今回初めて舞台で市村正親を見たが、こんなに台詞の聞き取り難い役者だったのか?