『スター・ウォーズ/偽りの仮面 議長暗殺計画』 ジェームズ・ルシーノ
2012年 04月 16日

銀河共和国は崩壊の危機に瀕していた。1000世代に渡る平和の中で強欲と堕落に蝕まれた元老院は、もはやヴァローラム議長の手に負えない。一方、辺境星系群では通商連合(トレード・フェデレーション)が暴利を貪っていたが、そのやり口に不満を持つ海賊やテロリストの横行に悩まされていた。そんな中で持ちあがったヴァローラム議長の暗殺計画。その裏では暗黒卿ダース・シディアスが全ての糸を操っていた・・・・・・。
クワイ=ガン・ジン、オビ=ワン・ケノービ、ヨーダ、ヴァローラム議長、パルパティーン議員、ヌート・ガンレイ、クイーン・アミダラなどお馴染みのメンバーが出てくる、映画『スター・ウォーズ/エピソード1~ファントム・メナス~』の前日談。映画冒頭で、何故トレード・フェデレーションが惑星ナブーを封鎖しているのか、そういった社会背景も描かれているので映画を補完する上でも必読と言える。議長暗殺計画と、それを阻止すべく行動するジェダイたちとの攻防、というサスペンス物の妙味もある。
『ダース・モール 闇の狩人』でメインで活躍したダーシャ・アサント、<スローン三部作>に登場したジョラス・シボース、後に『崩壊の序曲』で活躍するルミナーラ・アンドゥリなどなどがチラッと顔見せし、あのウィルハフ・ターキンも重要な役どころで姿を見せるなど、シリーズを読みこんでいる読者向けのサービスも。
ところで題名にもなっている「偽りの仮面」だが、これが何を意味しているかは作中でも明確ではない。パルパティーンを指しているのではないか、というのが一応のファン・サイドの見解なのだが・・・。

それよりもてっきり「スター・ウォーズ」ビジネスから撤退したと思っていた竹書房が、再び参戦したことの方が驚きではあるが。しかも元となった単行本は竹書房からではなく、ソニーマガジンズから発売されていたのだから。
感想は「栞ははさんで・・・」からの転載。
ただの文庫化ではなく翻訳も大幅に見直されているようだが、よほどのファンでなければ気にするほどでもないだろう。映画で描かれていたヴァローラムのスキャンダルや、アミダラがナブーの女王になった経緯などを知りたいと思われたなら一読をお勧めする。
同時に『ダース・モール 闇の狩人』や『エピソード1』のノベライズも文庫化されたが、今後3D版の公開に合わせる形で他の作品も順次刊行されるのだろうか。
